儚さ ページ19
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階段を降りると神山くんはこちらをちらりと見てすぐに目を逸らした。
昨日 望についていった私を怒っているんだろう。
縁側に座って青と言うよりも水色の空を見上げる彼の隣に腰をおろして横顔を見つめる。
綺麗な顎ライン、鼻筋、整った眉、眩しそうに空を見つめる瞳、そして、
「 …俺今日で終わりにしようと思う 」
口元が動いたと思ったら予想もしない言葉が発せられた。
目を見開いて彼を見てもこちらを見ようともしない。
「 あいつから聞いたやろ、俺のこと。俺のおとんが 」
「 神山くん、私何も聞いてない。聞いてないよ 」
「 え？ 」
神山くんは困った表情で私を見た。
望からは何も聞いてないし聞こうとも思わなかった。
「 ほんまに何も聞いてへんの？ 」
「 聞いてないよ。神山くんのお父さんが何をしたのか分からないけど、そこから先聞こうと思ってない 」
「 そう言われたら俺どないしたらええか分からんなあ 」
私はその場に立ち上がり彼に手を差し伸べて
一言、神社に行こうと口にした。
彼は頷いてから私の手を強く握ってくれた。
暑いのは言わなくても感じるし言ってしまえば更に暑くなる。
だから一言も話さずに神社まで二人で歩いた。
階段を登って境内へ着くと木々が揺れて涼しい風が優しく吹いた。
昨日二人が言い争っていた場所と全く同じところに腰を下ろして辺りを見渡す。
今日は一段と綺麗に空も海も村も遠くの山も街も澄んで見えた。
「 今日はね、向こうに見える街の花火大会なんだよ 」
「 そうなんや。このまま夜まで晴れとるとええな 」
「 だから神山くん、私と一緒に花火見よう 」
今度は私が向こうを見つめて話をした。
神山くんの視線を感じても太陽で反射する波の煌めきから逸らさないようにしていた。
「 今まで_____
家族が減ってしまうまで私はずっと大切な人と見てた。
家族って自分の命よりも大切だって思うことあるでしょ？
でも大好きで大好きで堪らない両親が一瞬で、
まるで花火みたいに消えてしまった後に
残ったおばあと家から二人で花火眺めてた。
その頃から花火が少しトラウマになったんだけど
命の儚さ、尊さ、大切さを感じることができた
素晴らしいものなんだって考えるようになった。
だから神山くん、私と一緒に花火見よう 」
最後の一言だけはちゃんと彼を見て話した。
彼には消えてほしくなかったから。
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ひよこ(プロフ) - むーむーさん» コメントありがとうございます。ドラマ化だなんて私にはもったいないお言葉です！そう言って頂けるとこれからも頑張ろうと思えます。作品を読んで頂きありがとうございました。 (2018年8月29日 21時) (
レス) id: 1c4112a45d (このIDを非表示/違反報告)
むーむー - 素敵な作品ですね！とても面白かったし、ドラマ化してほしいなって思いました(*^_^*) (2018年8月29日 21時) (レス) id: 12552c9479 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこ | 作成日時：2018年7月28日 18時
