【朝溶け.賽巫女】憑かれてる私と見えない君【乃木修一】 (ページ48)

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47.嘘ページ48

"乃木修一の人生"

確かにテレビにはそう書かれていた。

A｢どういうこと…？｣

私がテレビを見つめていると、いきなり音声が流れた。

[196X年乃木修一という男が誕生しました]

少しノイズが走っている。

[乃木修一には、姉と弟がいました]

零さんと英二くんの事だ…。

テレビは、本当に乃木が体験した日々を語っていた。
零さんが殺されて、それを知った乃木が村の人たちを殺そうとして…それで、牢屋にある謎の出入口を見つけた乃木は零さんに出会い力を引き継いでしまった。

[そして、乃木修一は父親にその力を利用されていました。]

そう、だから乃木は"触られることが嫌い"だった。今でも幽霊を消すことを良くは思っていない。

[そんなある日、乃木修一はとある少女と出会ったのです。]

それが、私だった。

初めて会った時の乃木は無愛想で、なんで私の事を気に留めたのか分からないくらいだった。

"何してんの"

木陰で泣いてる私に、乃木はそう聞いてきたんだ。

[なんと少女と喋っていると、心が軽くなったのです。]

そうだったんだ…。あの時の私でも、乃木の力になれてたんだ。

[そこから乃木修一は少女に構うようになりました。

ですがある日…少女は乃木修一に触れようとしました。]

声のトーンが下がるテレビの音声に、ドキッとする。

[そして、触られることが嫌いだった乃木修一は少女に怒鳴ってしまいました。]

今でもよく覚えている。乃木の境遇は知ってたのに、思わず触れてしまいそうになった自分を深く恨んだ。

[乃木修一は少女から離れることにしました

なのに、お前が助けるから]

A｢…え、？｣

いきなり私に話を振る音声に思わず声が漏れた。

[乃木修一はお前から離れようとした。

けど村人から喧嘩を売られた時に、お前が前に出て助けた。だから乃木修一は離れることが出来なかった]

何を、言っているのか。

[なぜか、分かるか？

罪悪感だよ。自分は助けて貰ったのにこのまま離れていいのかという罪悪感]

でも、乃木は笑ってくれた。
守ると言ってくれた。

[それも全て口約束。そうすることで乃木修一は助けた気になっていた]

…どういうこと…？？

[幽霊に憑かれているお前の傍にいること、それは乃木修一にとって負担でしか無かった

我慢の限界に達した乃木は留学を理由に村から逃げ、お前から逃げたのだ。]

嘘だと分かってる。

信じちゃダメなことくらい、分かる。

でも、何故か

私は、信じてしまった。

ごめんね、乃木。