43.侵入 ページ44
A｢っ？！｣
私の手首は拘束されていた。
状況が飲み込めず混乱していると、廊下の方から足音が聞こえてきた。
A｢あ、あの！誰かいますか？！｣
廊下に向かってそう叫ぶと、教室の扉がゆっくり開いた。
竜｢起きた？A｣
A｢……竜…くん…？｣
ーーー
乃木｢遅い｣
俺はソファに座りながらそう呟いた。
現在21:00
2時間前、Aが鬼灯竜に呼ばれたと出ていったっきりまだ帰ってきていない。
乃木｢ユイちゃんにも連絡入れてみるか｣
そう思い天塚家の電話番号にかけてAについて聞いてみるが、2人とも知らないと言っていた。
…なんか、怪しくね？
でもどこ行ったとか知らねーし…
｢神様｣
……お…？
｢私だよ、神様｣
受話器を耳から離して左下に視線を移すと、いつしかの女の子の幽霊がいた。
乃木｢あん時の幽霊じゃん｣
｢危ない。おねーさんが、危ない｣
乃木｢……どこ？｣
｢おねーさんの、学校｣
俺は深呼吸をして、受話器を耳に近付けた。
乃木｢ロッティ、ユイちゃん
今から俺の言う場所来れる？｣
ーーー
ユイ｢乃木さん！！Aちゃんが危ないってどういう事？！｣
乃木｢おー、夜中に呼び出してごめんな｣
ロッティ｢それはいいが…
学校って…｣
乃木｢あいつの友達がここにいるって言ってたんだからぜってーいるって｣
ユイ｢そういえば…その鬼灯竜？って人はなんのためにAちゃんを…？｣
乃木｢さあね。まあ1つだけ分かることと言えば…
俺の"ライバル"って事だな｣
ロッティ｢…ユイ、俺から離れるなよ｣
ユイ｢う、うん…！｣
俺は持ってる鉄パイプを振りかぶって正門に付けられている南京錠をぶっ壊した。
ユイ｢…お金とか請求されないかな｣
乃木｢そん時はあのガキに払わせよーぜ｣
俺らは遠慮なく中に入ると、いきなり2人が顔を青ざめた。
ユイ｢…凄い、嫌な予感がする｣
ロッティ｢ああ…幽霊もそこら中にいるな｣
乃木｢んー、見えねーな｣
いつも通り見えないことを確認し、俺らはできるだけ固まって3年生の教室を探した。
するととある階だけ、雰囲気が違った。
俺でも少しは分かるくらいに不穏な空気が漂っている。
ユイ｢っ、ここ、他の階と全然違う…！｣
乃木｢じゃ、ひとつずつ見ていくか｣
俺はお構い無しに教室の扉を開けていった。
ーーー
全てが、明らかになる。
ーーー
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作者名：霊来 | 作成日時：2023年7月27日 4時
