42.トクベツ ページ43
｢好きです…俺と、付き合ってください…！｣
高校2年生の秋頃、体育館裏で私は告白を受けた。
同じクラスの子で、班活動や席が近くになることが多く個人的にも仲は良かったと思う。
でもそれは、友達として。
告白されるなんて思ってなかった。
A｢…ごめんね、好きな人がいるんだ｣
｢…それって、鬼灯竜のこと？｣
A｢…？竜くんはただの友達だよ？｣
｢…本当は嫌なんだろ？一緒に居たくないんだろ？あいつ無理やりAとつるんでるんだろ？｣
怖かった。
ほんとに竜くんは友達なのに、それをずかずかと否定されて。竜くんのこと何も知らないくせに。
｢俺が助けてやるから、その後また返事聞かせて？｣
でも、何も知らなかったのは私の方だった＿＿＿。
A｢竜くん…？｣
私が名前を呼んでも、竜くんはただただ拳を振り続けた。
竜くんの下には前に告白してきてくれたクラスメイトの血だらけの姿があった。
全身の血の気が引いた私は、その場に座り込んだ。
竜｢こいつ、Aを解放してあげろとか言ったんだ。僕が弱み握って無理やり一緒に居させてるんだろって。
そんな事ないよね？Aは好きで僕と居るんだよね？ねぇ、そうでしょ？｣
竜くんは狂気満ちた目で、私をじっと見つめた。
竜｢なんで何も言わないの。違うの？こいつの言ってることが正しいの？ねぇ、ねぇ、ねぇ、何か言ってよ｣
竜くんはゆっくりと近付いてきた。
怖くて、怖くて震えて、私は何も出来ずにいた。
竜｢ただの人間が僕とAの関係に邪魔をするからいけないんだ。自業自得。
君はトクベツだから、僕が守っていないとすぐに死んじゃう｣
竜くんはにこっと笑って、血だらけの両手を私の頬に添えた。
竜｢まだ僕のモノには出来ないけど、きっといつか"その日"が来るからね。
だから、それまで待ってて？｣
竜くんが何を言ってるのか私には理解できなかった。
けど、なぜか左手の薬指が痛んだ。
竜くんは、私の何を知ってるの？
私の知らない何かを知ってるの？
怖い。竜くんが、怖い。
竜くんが怖いのに、竜くんから離れることも怖い。
A｢…もう、やらないでね。｣
竜｢…うん、君が望むなら｣
ーーー
A｢ん…んん…？｣
手首に痛みを覚えて私は目を開けた。
目の前には教室が広がっている。
あれ、なんで私…学校にいるの…？
手を動かそうとすると、がしゃんと金属の音がした。
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作者名：霊来 | 作成日時：2023年7月27日 4時
