34.ただいま日本 ページ35
A｢日本着いた〜！｣
私は腕を上げてそう言った。
ユイ｢僕とロッティは1度家に帰るけど、2人はどうする？｣
A｢私も自分家帰ろっかな｣
乃木｢え｣
乃木は引きつった顔のまま固まってしまった。
何をそんな驚くことが…と思ったが、多分乃木は私が村に帰ると思ってるんだと思う。
乃木にとっても私にとってもあの村はいいとは言えないし、そりゃ行きたくないよね。
A｢言っとくけど村じゃないから
私、一人暮らししてるし｣
ーーー
乃木｢おじゃましまーす♡｣
乃木はわくわくした顔で家の中へとお構い無しに入っていった。
A｢言っとくけど面白いもんなんて無いよ？｣
乃木｢とか言って〜
人には見せれないあんなものやこんなものが…｣
A｢ないない…｣
期待を裏切るようで申し訳ないが、私は誠実な人間なので人に見られて困るような物は持っていません。
あるとしてもせいぜい卒アルくらいかなぁ？
乃木｢なーなー、Aの部屋ってここ？｣
A｢看板かけてたらそこー｣
私はキャリーケースの中身を出しながらそう答えた。
乃木｢入っていい？｣
A｢いいけど…ほんとに無いからね？｣
そう言っても乃木は期待の眼差しで部屋の中へと入って行く。ほんとにないと思うんだけど……
A｢……あ。｣
私は持っている荷物を投げ捨て走って自分の部屋へと向かった。
A｢乃木！！ちょっとストップ！！！｣
扉を開けてそう叫ぶと、乃木は既に何かを手に持っていた。
乃木｢…えっと〜？Aさん、これなに〜？｣
ニヤニヤした顔の乃木が、自分の持っているものを私に見せる。
それこそが、私が見られたくない物だった。
A｢ちちちちちがう、違うの、！別に寂しかったとかじゃなくて…！｣
乃木｢俺まだ何も言ってないんだけど〜？
でも意外だなー、Aが俺の写真持ってんの♡｣
そう、私は唯一持っている乃木の小さい頃の写真を写真立てに入れて飾っていた。
当時の私はそうすることで救われていた。
でも、でも！！
A｢まさか本人に見られるとは…！！｣
恥ずかしさで胸がいっぱいになっていると、乃木は｢まぁでも｣と口を開いた。
乃木｢もうこれはいらねーな｣
A｢えっ…？｣
乃木｢だって、本物が目の前にいんじゃん？♡｣
A｢………
だめ、いる。｣
乃木｢え〜？｣
A｢だって乃木の小さい頃の写真それしかないもん！｣
乃木｢…俺、Aの写真1つも持ってねーんだけど？｣
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作者名：霊来 | 作成日時：2023年7月27日 4時
