30.大切なもの ページ31
俺は貰ったイヤリングをポケットに入れて敷石を走った。
一本道な事もあり、迷わず進んで行くと奥の方が暗闇になっているのが見えた。
乃木｢まじかよ…｣
思わず眉をひそめてそう言う。
ここで行き止まりか…？
そう思ったのも束の間、左の方からざば、さばと波がたつ音がした。
顔を向けてみると、Aが一点を見つめて止まっていた。
乃木｢A！！｣
俺が名前を呼ぶと、Aは海の底へ姿を消した。
乃木｢っ！！A！！｣
俺はすぐに水の中に入ってAがいた場所に手を伸ばした。
ーーー
苦しい。息ができない。
誰かが私の服を引っ張ってる。
このまま、死んじゃうのかな。
…そんなのっ、やだよ…まだみんなと居たい…！
そう願っても、私は海の底に沈んでいくだけだった
瞼が重たい。意識が朦朧としている。
A｢…！｣
私のかけていたネックレスがいつの間にか首から離れ目の前で浮いていた。
だめ。それだけはだめなの。大切な人から貰った、大切な贈り物…お揃いのものだから…。
絶対、なくしちゃダメなんだ…！
腕に力を無理やり入れて、私はネックレスに手を伸ばした。
そして、その手を誰かが掴んだ。
｢Aっ！！｣
この声……乃木…？
こんなとこまで…助けに来てくれたんだ…
こんな状況なのに笑みがこぼれてしまう。
やっぱり、乃木は私の神様でヒーローだ。
水面が段々近くなり、私は思いっきり顔を出した。
A｢っはぁ！！…えほっげほっ…はぁ…はぁ…｣
体内に酸素が巡って、やっと意識がハッキリしてきた。
横にいる乃木に目をやると、眉を下げ心配そうな顔で私のことを見ていた。
私たちは1度敷石まで移動し、その場に座った。やっと休憩できる…。
A｢乃木…｣
乃木｢……った…良かった…生きてて…｣
安堵した表情で乃木はそう言った。
A｢…うん、乃木のおかげだよ…！
あ、でも…ネックレス…｣
自分の首元を触ってそう言うと、なぜか乃木は笑った。
乃木｢ちょっと前屈みになってみ？｣
私が素直に従うと、乃木は近付いて何かをしていた。
乃木｢…はい、できた｣
そう言われもう一度自分の首元を触ると、乃木に貰ったネックレスがかけられてあった。
なんで、？！と私が驚いていると、乃木は"手元にあった"と笑って言っていた。
乃木｢あと、これは女の子が霊が見つけたやつな｣
そうして手渡された物は、赤色のイヤリングだった。
ーーー
ﾓﾁﾍﾞ…ﾓﾁﾍﾞﾄﾞｺ…
ーーー
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作者名：霊来 | 作成日時：2023年7月27日 4時
