19.来てる ページ20
｢……何も出来ない。ごめんね…｣
A｢……いいんだよ。君が思い詰めることは何も無い。
選んでくれてありがとう。私、これにするね！｣
笑顔でそう言うと、子供の幽霊も微かだけど笑った気がする。
ユイ｢お待たせ！
Aちゃん、それ買うの？｣
お会計を済ませたユイちゃんが、私の手元にあるイヤリングに目線を落とした。
A｢うん！友達が選んでくれたんだ｣
ユイ｢友達…？
そっか、赤色で綺麗だね！｣
そうだね、と返すとまるで乃木さんみたい！と言われ思わず変な声が出てしまった。
でも、だからこそ選んでくれたのかなぁ。
ーーー
A.ユイ｢ただいま〜｣
乃木｢おかえり〜
ってこれまた荷物が多いこと｣
半分呆れ気味で言われるが、女子はこういうもんだ。
結局あの後私も何着か買っちゃったなぁ
ロッティ｢持とうか？｣
ユイ｢大丈夫！ロッティは先に晩御飯作ってて！｣
ユイちゃんはるんるん気分で部屋へと駆け込んだ。
ロッティと同じ部屋だけど、どうやって隠すんだろ？
まぁユイちゃんなら大丈夫か。
A｢ね、乃木｣
乃木｢ん？｣
A｢お揃いってどう思う？｣
乃木｢んー？別にいいんじゃねーの？｣
A｢おっけ〜｣
乃木｢え〜なに〜？お揃いのもんくれんの？♡｣
A｢誰もあげるとは言ってない｣
乃木｢ちぇ〜｣
ロッティ｢乃木、暇なら手伝え｣
乃木｢はいはーい｣
あー、もう既に土曜日が楽しみ。
絶対ユイちゃんとロッティをくっ付けて、乃木に少しでも意識して貰う！！
私はそう意気込んで部屋へと向かった。
ーーー
｢悪い子｣
｢悪い子｣
｢いらない子｣
｢いなくても困らない｣
｢ここなら君を歓迎する｣
｢だから｣
｢だから帰っておいでよ｣
A｢……また…？｣
お買い物に行った日の夜、私はまた同じ夢を見た。
私をもう一度殺そうとするもの達の声。
｢死からは逃れられない｣
｢死んだのなら死ぬしかない｣
｢眠って。眠って。落ちて。
目を、瞑って｣
また、石が蹴られる音がする。子供の泣き声が、する。
やめてよ。傷付けないで。死にたくて死んだんじゃない。
A｢っっ………また、悪寒…！｣
前を向いて、私は、目を見開いた。
近付いて来ている。
昨日よりも、確実に、進んでいる。
A｢………｣
言葉が、出てこない。
これ、このまま、捕まったら…
私、どうなるの…？
ーーー
土曜日まで あと、2日
ーーー
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作者名：霊来 | 作成日時：2023年7月27日 4時
