18.霊 ページ19
｢逃げた｣
｢逃げた｣
｢死んだのに、逃げた｣
｢ダメ｣
｢許さない｣
｢連れて帰る｣
｢だから…眠ろうよ｣
声が聞こえてくる。
いつも視界にうつる幽霊たちの声。
そして＿………。
石が蹴られる音と、子供の、泣き声。
A｢……えっ…？｣
目を開けると、私は賽の河原にいた。
昔死んだ時に来たことのある、賽の河原。
なんで？私、死んだの…？そんなはずない…。
だって、私、ちゃんとベッドで寝て…
身体が動かない。まるで金縛りにあったかのようだった。
近くでは見知らぬ子供たちが石を積み上げている。
やめて。帰して。私のいるべき場所は、ここじゃない…！
そう思った時、背中に悪寒が走った。
全身がゾワッとするような寒気。
恐る恐る前を見てみると、遠くの方で獄卒がこちらを見ていた。じっと、私を捉えていた。
額から汗が流れる。寒い。怖い。嫌だ。
誰か…助けて…
｢……ゃ…………ちゃん…｣
誰か……
｢Aちゃんっ！！｣
A｢っわ？！！｣
思いっきり体を起こすと、ユイちゃんが驚いた顔で私のことを見ていた。
ユイ｢だ、大丈夫？なんかうなされてるみたいだったけど…｣
今日のお買い物辞めてもいいんだよ、と優しく言ってくれたが、折角ユイちゃんと出かけれるんだ。
A｢大丈夫だから、行こう？｣
私は平静を装って言った。
ーーー
A｢わぁ〜！！｣
デパートについてから、私は大はしゃぎした。
夢のことなんてすっかり忘れて、ユイちゃんに似合う服を選んでは買ってを繰り返していた。
A｢ユイちゃんって言ったら緑だよね〜…んー、このロングスカートに緑の服を合わせて…白の上着を羽織ったら可愛いかな｣
ユイ｢わ〜！確かに可愛い！けど僕には似合わない気も…｣
A｢ユイちゃんなら何着ても可愛いよ！きっとロッティもそう言ってくれるって〜｣
ユイ｢そ、そうかなぁ…｣
照れくさそうに笑うユイちゃんを見てるとこっちまで幸せな気分になる。
ユイ｢じゃあ僕、これ買おうかな！
お会計行ってくるからちょっと待ってて〜！｣
A｢はーい！｣
待ってる間暇だし、私も服見ようかなー…
A｢……ん、？｣
｢……これ｣
隣で何かがもぞもぞ動いてるなぁと思ったら…子供の幽霊…？
｢…きっと、似合う｣
幽霊が指差したものは、綺麗な赤色が目立つイヤリングだった。
｢……神様…守ってくれる…｣
A｢…え？｣
｢……何も出来ない。ごめんね…｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霊来 | 作成日時：2023年7月27日 4時
