16.コチョウラン ページ17
賑やかな声が聞こえてくる。
店内はとても暖かく、居心地がいい。
はずだった…。
ラン｢やっぱ修一の作ったカクテル美味しいわね｣
乃木の見える位置ということを条件で、私は戦場に駆り出された。
私は足のつかない椅子にランさんと向かい合う形で座っている。
A｢…あ、あの｣
ラン｢ん？あぁ、ごめんね。
最近一緒に飲んでくれる人がいなくて｣
いや、私何も飲んでませんが。一緒に飲むとは…？
ラン｢…それでさぁ
あんた、修一のこと好きなの？｣
心臓がドクッと跳ねた。
さっきから薄々思ってたけど、もしかしてこの人…乃木のこと好きなんじゃ…？
今ここで好きって言ったら…
｢は？あんたみたいなやつが？っく…あっはは！釣り合わなすぎw｣
みたいな事が起きるんじゃ…？？？
な、なんて言おう…
ラン｢…言っとくけど、修一とあたしはなんでもないから
ただの店員と客｣
A｢えっそうなんですか？！｣
ラン｢っふ、やっぱり気にしてたんだ
安心した？｣
さっきとは違って、優しい笑みで聞いてくれるランさんに緊張が解けていく。
ラン｢で？どうなのよ｣
A｢す、きです…
でも、私は乃木の傍に居れたらそれでいいので…｣
ラン｢そお？修一がそれだけで満足するとは思えないけどね｣
A｢…？えっと…｣
ラン｢この世にいる男なんてみんなオオカミなんだからさ。
あんたみたいな可愛い子猫はすーぐ食べられちゃう｣
少しだけ酔っているのか、火照った顔でランさんはそう言った。
ラン｢あんた…修一からどう思われてると思う？｣
ランさんの視線は、私ではなく乃木に向いていた。
A｢どうって…普通に、友達…｣
だって、それ以外ないじゃん。
乃木から見て私は仲のいい女友達。それ以下でもそれ以上でもない。
ラン｢はぁっ…あいつ、意外と奥手なのかしら
じゃあ、ヒントをあげる｣
A｢ヒント…ですか、？｣
ランさんはいきなり立ったかと思えば、私の近くに寄ってきた。
ラン｢あいつがあんたのこと、どう思ってるか｣
何するんだろう、そう思った時
A｢………え｣
ランさんの顔が近くにあった。
少しでも動いたら当たってしまうくらい、近い。
乃木｢ちょ、ランさん？！！！｣
後ろから乃木の声が聞こえる。
ラン｢あたし、
あと、これ芸名だから｣
そう言ってランさんはお店を去った。
ーーー
コチョウラン
花言葉:幸福が飛んでくる
ーーー
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作者名：霊来 | 作成日時：2023年7月27日 4時
