Episode96 ページ46
・
ついに誕生日当日。
私もついに25歳になった。
もちろんひとりぼっち。
…本当なら廉がお祝いしてくれてた。
日中はのんびり過ごして夜は外に出た。
夜ってダメだよね〜悲しくなっちゃう。
歩いていると、案の定泣きそうになってきた。
本当なら廉と歩いてたのかな〜なんて。
本当なら本当ならってずっと私はなんなんだろう。
自分から会えなくなったって言ったのに。
あの日はこれ以上自分が傷付きたくなくて、廉に会えないって言ったのに。
なんかもっともっと傷付いてるなあ。
あーダメだ。
今日は泣かないつもりだったのに。
｢Aちゃん？｣
ふと声をかけられるとフードを被ってサングラスをした人が居る、こんな夜にサングラス？？
｢やっぱり！あ、ごめん！これじゃ分かんないよね！｣
そう言ってフードとサングラスを取ると岸くんだった。
｢びっくりしたあ！｣
｢一応ねっ！！変装変装！！！！｣
なんか変な一発ギャグしてるの。(笑)
でも岸くん、私の顔を見て分かったんだと思う。
何も聞いてこない所が岸くんの優しい所。
そう思うと涙が出そうになった。
みんなが優しくて余計になんか苦しい。
おちゃらけてた岸くんの顔が変わった。
｢えっ、ちょ、ちょっと向こう行こう。｣
人影の少ないところまで連れてってくれた。
これも私が泣いてるからでしょ？？
岸くんってほんっとに優しい。
岸くんは黙ってティッシュくれた。
何も聞かずに隣にいる岸くん。
｢んー、何があったとか、俺からは聞かない！｣
｢え？｣
｢言いたくないこととかあるだろうし、言おうとして思い出せば思い出すぶん、Aちゃん苦しいでしょ？｣
｢岸くんはさ、優しいね。｣
｢え？マジ？Aちゃんに言われると嬉しいな！！あっ、笑顔だ！！その顔が1番だよ！！夜も遅いし、帰ろうか！！家帰って冷やしなよ！目！｣
元気いっぱいニコニコして話す岸くんを見ていると、
これからも廉のそばに居て欲しいなって思う。
家まで送ってくれるって言うから2人で歩いた。
ずっと面白くて泣いてたのが嘘みたいに笑えた。
｢そういえば俺さ……あっ…｣
うそ…でしょ。
だって目の前に廉が居たから。
｢ふっ…そっか。｣
｢ちが…｣
｢何が違うん？お似合いやん。お幸せに。｣
その場が凍りついた。
冷たく言い放った廉の後ろ姿をただ見るしかできなかった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くらげちゃん | 作成日時：2021年9月26日 8時
