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「嘘でしょポー！ なんで今思い出したの！？」
「ふ、深い事情が俺にもあるんよ！ ていうか、確か住所教えられ……」
ポーが服の内ポケットをごそごそとまさぐり、「ほらやっぱりあったし！」と叫びながらくしゃくしゃのメモ用紙らしきものを天高く掲げた。
「いやぐしゃぐしゃじゃないか！」
「多分入れたまま洗濯したんよ……会いにいくつもりもなかったし……忘れてたし！」
なんとか紙を復元しながらポーがぶつぶつとつぶやく。洗濯でインクが滲んで見れなくなってるのではと心配したが、そんな俺の心配とは裏腹に、紙にはしっかりと「A・ゴルベフ」の字と住所が書かれてあった。
「嘘でしょ……」
「ほら……やっぱ俺って探偵の素質あるんよ！ 見直したかリトー！」
「流石と言わざるをえない……。ていうか、ほんとになんでそんなもの持ってるの？」
俺のその質問に、ポーはぎくっという効果音が見えそうなほど露骨に目を逸らす。俺がそんなポーの目をじっとりと見つめると、ポーは唇を尖らせ、両手の人差し指をちょんちょんとつつき合わせた。
「こいつの眼鏡踏んじゃったってゆーか……」
「ええ！？」
「弁償しようとしたら……最初は自分の不注意だからって遠慮してたんよ……。でも、俺がポーランドって分かった瞬間に、『弁償はいいから勉強を教えてくれないか！』って……」
ポーの言うことには、彼女にねだられ、断れず、ポーランド語を教えてきたらしい。
「ええ、じゃあポー、先生したの？ その子の？」
人見知りのポーには荷が重かっただろう。お疲れ様、と労ると、その時のことを思い出したかのようにポーが唸った。
「うー……あ、でもいいやつだったんよ。だから会いに行くなら案内するし」
「あーじゃあ連絡ついたら……あれ？ 電話番号は？」
「あいつ電話持ってなかった」
「あっ、そうなのか……」
「まじ生活苦しそうでちょっと心配になったし……やっぱ弁償しとくべきだったかなー」
そう独りごちるポーを横目に、近いうちに休みをとらないとな、とスケジュール帳を眺めた。それを横から覗き込んだポーが、「明日でよくね？」と指を指す。
「明日！？ 急すぎない！？」
「連絡取れないんだから待つ意味なくね？ もっと忙しくなる前に行った方がええし！ 俺休み取ってくる！」
「ちょ、ポー！」
ポーが俺の言葉を待つことなく走り出す。
くしゃ。
「ん？ なんか踏んだし」
「あ゛ーーーーッ！？」
「？」
「ごめん……リーティス……」
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夕べの宝石(プロフ) - 亜理紗さん» コメントありがとうございます。不定期に更新しますので、お暇な時に読んでいただけると嬉しいです。 (2020年12月29日 1時) (
レス) id: 9d709d1c0a (このIDを非表示/違反報告)
亜理紗 - 素敵な作品でした、更新待ってます！ (2020年2月15日 14時) (レス) id: f5ce1e3e52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕べの宝石 | 作成日時：2019年9月25日 23時
