6 ページ6
「はぁ〜、ロシアさんったら、唐突に電話なんかかけてきて……何事かと……」
受話器を置き、先程までのメモをちらりと見て、またため息をついた。この情報量での人探しって……。
「ロシアになんか頼まれたん？」
「うわァ！？ なに、ポーいたの！？」
「は？ ずっとリトの後ろついてきてたし！」
「仕事して！？」
いつの間にか、ポー＿＿ポーランドが僕の部屋のソファーの上を陣取っていた。草笛をくわえて上下に動かす彼にねだられ、事の顛末を説明する。
「へー、リト探偵みたいじゃん」
「ロシアさんからの頼みって、なんか断れないんだよね……染み付いてるって言うか……」
ていうか仕事して、と言うと「休憩だし〜」とポーがソファーにひっくりかえる。その後、俺の顔を見てにんまりと笑った。
「な、なにさ」
「俺も手伝ってやろーか」
「えぇ！？ いいよ、いいよ」
絶対ややこしくなるし、ていうか絶対仕事サボる口実にしようとしてるし！
すぐに遠慮する俺に、ポーが指を振る。
「俺、イタリアのなくし物とか見つけるの得意だったんよ？」
「関係ある？」
「ある！ いいから探してる奴の名前教えろし！」
「えぇ〜……A・ゴルベフさんっていうらしいけど……。知ってる？」
「んん〜…知らん！」
だよね、と肩を落とす。「そもそも俺知らんやつと話せんし」とポーが能天気に笑う。それにつられて俺も笑ってしまった。
「ま、気長に探そ……ってわけにもいかないか。昔に比べてすごいスピードで1日終わるし」
「まじ気づいたら1年経ってるし〜。おひさませっかちすぎん？」
これ以上は俺もポーのことを言っていられないと、ポーの腕を掴んで立ち上がらせ、そのまま畑に向かう。
「でも苦しい時はやたら長いしマジありえん」
「確かになー」
「お前と別々だった時も……」
「わー！ちょっと御二方！止まってください！！」
ポーがなにか言いかけた時、突然の大声が俺たちの足を止めた。何事かと声の主を探すと、農業省で働くリーティスが床に這いつくばっていた。
「な、何してるの？」
「コンタクト落としちゃったんです！ 踏んだら俺今日1日使い物になりませんからね！」
その剣幕に苦笑いしつつ、「手伝うよ……」と申し出ると、リーティスが申し訳なさそうに頭を下げた。
「……」
「？ ほらポー、踏まないように気をつけて……」
「あーーーッ！！」
「うわなに！？ 踏んだ！？」
「違う！ 俺知ってたんよ！ Aってやつ！！」
「え、えぇーッ！？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夕べの宝石(プロフ) - 亜理紗さん» コメントありがとうございます。不定期に更新しますので、お暇な時に読んでいただけると嬉しいです。 (2020年12月29日 1時) (
レス) id: 9d709d1c0a (このIDを非表示/違反報告)
亜理紗 - 素敵な作品でした、更新待ってます！ (2020年2月15日 14時) (レス) id: f5ce1e3e52 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夕べの宝石 | 作成日時：2019年9月25日 23時
