一歩:Kanta ◎ ページ9
*後味が悪いお話です、苦手な方は御遠慮ください。
先週俺は一生に1度の大きな決心をした。トミーには申し訳ない、それでも俺は前に進む事にする。彼の家で撮影をして家を出る時、珍しくトミーは玄関まで見送りに来た。
ト「明日、朝8時にうち来いよ?」
「...お疲れ様」
ト「カンタ、」
「ゆっくり休みなよ?」
何か言いたげなトミーを振り切るように背を向けて彼の家から一歩一歩離れていく。ごめんな、トミー。
家に帰るとリビングには俺の彼女が待っていた。
『...迷いはない?』
カ「無いよ。もう決めたから。ただ今日の動画だけ作ってもいい?」
『私運転するからいいよ』
昨日準備した手紙をこの部屋に残し、俺はパソコンとSDカードを持った。彼女は綺麗な白いワンピースを身に着けてスーツを片手に車へと向かう。改めて部屋に目を向けると数多の記憶が蘇る。その全てをかき消す様に頭を振り部屋の鍵を閉めた。
彼女とのドライブはいつものように楽しくて心地いいものだった。途中コンビニによってトイレ休憩したり、道の駅で変なお菓子を買ってみたりしながら目的地へと向かった。
目的地に着いたのは午後9時。動画もあげ終えてる。
人気は全くなくて静かな場所だった。車から降りると50メートルほど下に海が見える。
「俺着替えて来るから待ってて」
『ん、分かった。』
車に入って服を脱ぎ捨てると彼女が用意してくれていた白いスーツを身にまとった。胸ポケットには何故か1枚の葉っぱが入っていた。
「ねぇ、この葉っぱ何?」
『それは柿の葉』
「そっか」
彼女にとってそれが意味のある事ならそれでいい。Aの目の前に立ちゆっくりと跪くと彼女は少し頬を赤らめた。
「A、愛してます。今後永遠に傍に居てください。」
『勿論、傍に居ることを誓います。』
彼女の指に指輪を通すと、彼女もまた俺の指に指輪を通してくれた。
『...寛太、本当にこの選択でいい?』
「愛してる。傍に居たいんだよ。」
『わかった...』
彼女が取り出したロープを自分の左足とAの右足に括りつけて、ぎゅっと手を繋いだ。
『一緒に居ようね』
「...永遠にね」
噛み付くようにキスを交わし、俺らは共に1歩を踏み出した。
_
富永 知義 様へ
文字は凶器だと誰かが言った。
彼女の存在が世間にバレた時、Aは酷い攻撃を受けた。俺は守る方法を見つけたんだよ。
トミーごめん、俺の事いっぱい怒ってね。
佐藤 寛太 より
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むう - めちゃくちゃ大好きです!これからも応援してます! (2022年5月7日 22時) (レス) @page37 id: 0b4c79d36c (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - りあさん» ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします! (2020年12月11日 17時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - モーニングルーティンの小説とても好きです。これからも更新楽しみにしています。 (2020年12月8日 16時) (レス) id: 1311488687 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあ(プロフ) - かりんとうさん» 具体的なシチュエーションなどはございますか。あれば助かります。 (2020年11月3日 15時) (レス) id: e3e12464ab (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 初めまして、良ければワタナベマホ君の小説を書いて欲しいです!! (2020年10月30日 10時) (レス) id: 4f5e255211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴあ | 作成日時:2020年3月11日 21時