好きになる。 (ページ6)

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式も終わり、あちこちが卒業ムードで賑わう校舎

本来は下級生がいるはずもない今日、そんな校舎を走り回る私

『どこ…』

いつも一際目立つ京本先輩も、こういう時に限ってなかなか見つからない

ドンッ

『わっ！ごめんなさい…』

大我「大丈夫？…あれ笑」

顔を上げると、少し笑った京本先輩がいた

『…あっ京本先輩！』

大我「うん？笑なんかデジャブ？前にもぶつかったよね」

『え？覚えてたんですか！？』

大我「うん、なんとなくね笑 …どうしたの？誰か探してる？」

『その、京本先輩を探してて…』

大我「俺？」

『そうです、あのっ…私京本先輩の事が好きです！！』

やってしまった…こんなタイミングで言うもんじゃない

周りが賑わっていたおかげで私の馬鹿でかい声はそれほどまでに響いていないものの、かなり恥ずかしい

大我「ありがとう、…でもごめんね、付き合うとかそういうのはできないかな」

"付き合えない"その事実は辛いけど、
覚えていてくれた事が何より嬉しかった

『そう、ですよね…あははっ笑急にごめんなさい！ご卒業おめでとうございます！それじゃあっ…』

大我「待って？」

振り返って走り出そう、そう思った途端に掴まれる腕

『…はい？』

大我「俺さ、卒業したら進学も就職もしないで芸能の道に進むつもりなんだ」

京本さんの発する言葉の意味を理解するまでに時間がかかった

大我「だから、しばらく恋愛とかはできないかなって…」

『…えっと、…』

大我「ふはっ笑困らせたよね、ごめん笑今度、ミュージカルの舞台に出るんだ、良かったらAちゃんも観に来てよ」

『…え！？行ってもいいんですか！？』

大我「うん、是非来て？」

『行きます！！絶対！絶対行きます！！』

大我「ありがとう、じゃあ、残りの高校生活も頑張ってね」

『はい！！』

大我「ふははっ笑笑良い返事だね」

頭にポンポンっと乗せられた手
心臓が止まっちゃうんじゃないかってくらいギュッとなった

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