8口目 ページ9
シャッとカーテンが開かれる音がして、俺はゆっくりと目を覚ました。
太陽…眩しい…
窓から差す陽光を背に、黒い影が俺に話しかける。
「おはようございます、ご主人様。
ご気分はいかがでしょう。
…痛いところはありますか?」
「…?
いや…無いけど…
イルの催眠術のおかげで昨日はぐっすり寝れたくらいだよ。」
「ふふ、そうですか。」
イルは満足そうにニッコリと笑った。
な、なんだよ…
「それは良かったです。
恐らく、ご主人様は初めてでしょうから
昨晩はこれ以上ない位、
「は…?
な、何の話…?
初めて?昨晩??」
一体何の話だろうか?
俺には検討もつかないんだが…
「おやおや覚えていらっしゃいませんか…
では、ご馳走様でした…とだけ言っておきましょう。」
「ご馳走様って…!
す、吸ったのか…俺の…」
「…ふふ、久しぶりの感覚でした。
今晩も頂けると思うと、とても楽しみです。」
何かを含んだ笑みを浮かべるイル。
なんだか分からないが、嫌な予感がする。
俺の体に変なことでもしたのか…?
でも、特に体に変化はないけど…??
「お、おま…っ」
俺は慌ててイルに問い詰めようとすると、
イルは俺の開きかけた唇に人差し指を当てた。
「ご主人様、言い忘れていました。
実は今日、あまりにも気持ち良さそうに眠っておられましたので、いつもより20分遅れで起こしているのですが。」
「…へっ??」
「お時間、大丈夫でしょうか?」
唐突に関係ない話をされて俺は間抜けな声を出した。
今、こいつ何て、20分遅れ…?
ふ、ふざっけんな、いつも10分前に着くようにしてるのに、20分遅れだなんて100パー遅刻じゃないかよ!!!
「先に言えよ、バカっ!!」
「ふふ、申し訳ありません。」
にこにこ笑いながら謝罪しやがって…
やっぱりお前悪魔だな…!!
俺は流れる様に朝の支度をして、手頃に食えるものを探しにダイニングへ向かうと
それを測っていたかの様に、小ぶりなアイスを乗せた、1枚のトーストがあった。
「行ってきます!!」
少女漫画のヒロインの如く、俺はトーストを咥えて家を出た。
朝礼まであと10分…間に合うか…!?
……あれ…?
そういえば
イルのやつ、まだ家に残ってたけど…
あいつこそ、大丈夫なのか…?
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作者名:みゅん | 作成日時:2020年4月25日 8時