6口目 ページ6
｢すげぇ｣
俺はしばらく、その単語しか口にしなかったと思う。
イルに呼ばれ、
俺の目に飛び込んできたのは、うちのダイニングテーブルを埋め尽くす豪華な料理だった。
量が多いのにちゃんと手間隙かけたのか、一品一品がキラキラと輝いて見える…
｢これ、ほんとにイルが作ったの…？
マジですげぇよ…超美味そう…｣
｢冷蔵庫の有り合わせで作りましたので、大したものはないです。｣
｢有り合わせで作って、こんな高級料理みたいになるもんなの…？｣
｢ふふ、過去にそれなりの経験を積んでいますので。
それはさておき、ご主人様。
ここ最近、カップ麺かコンビニ弁当しか食べていなかったでしょう？
ゴミ箱がプラスチック容器ばっかりでしたよ。｣
｢…うっ｣
｢人間の身体は複雑ですからねぇ…少しでも偏った食生活をしていると体調を崩してしまいますよ。
まぁ、長話もなんですしどうぞお召し上がりください。｣
｢お、おぉ…いただきますっ…！｣
俺は差し出された箸を受け取って、イルの料理を食べた。
どれも優しい味がして、なんだか懐かしく感じた。
…めちゃくちゃうまい…。
箸が止まんねぇよ…
｢…んむ……んっ…むぐ…｣
｢…ご主人様。｣
｢…んまいよ、イル！…んぐ｣
｢それは大変嬉しいお言葉なんですが、ご主人様。
もう少しゆっくり食べてください。｣
｢ん！…んん？｣
正面からした声に俺は顔を上げた。
いつの間にか、イルは俺の目の前に座り、俺を諌めながら嬉しそうな顔をしていた。
お前は母親か…
にしても、こいつは料理まで上手いのか…
顔が良くて、頭も良くて、料理もうまい…
契約した時に 運動神経がいい のも分かったし…
契約までして、今更かって感じだけど…
一体こいつ、何者なんだ…？？
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作者名：みゅん | 作成日時：2020年4月25日 8時
