11口目 ページ12
「この匂い…なんだ…?」
晴人は顔を歪めながら、何度も俺の体を嗅ぐ。
傍から見たらめっちゃヤバいやつだよお前…
「な、なんだよ、臭いって
これでも一応風呂は入ってるっての…」
俺は晴人の頭を抑えて引き離した。
すると、晴人はハッとした顔をする。
「…あ、ごめんA……
何でもない…何でもないよ!
そうだよね、風呂入ってるよね。
今のは気にしなくて大丈夫だからね!」
なんだよ、急に慌てて…
おかしな晴人…
「…ほら、リンゴ。」
「う、うん、ありがとうA…!」
晴人はそう言って俺の剥いたリンゴを食べ始めた。
…晴人の好きな食べ物はリンゴらしい。
しかし、今の晴人の表情は曇ったままだ。
俺、なんか変なことでもしたか…?
でも、記憶の限り思い当たる節は無いし…。
俺はベットの傍に置かれた椅子に座り、いつもと違う晴人を眺めていた。
ピロン
「…ん?」
携帯の着信音だ。
一体誰からだろう。
飯伏 薫ご主人様
飯伏 薫今晩のディナーは何がよろしいですか?
「…いや、こっっっわ」
「…え?
どうかした、A?」
「え、あっ
いや、すまん。
独り言だわ。」
何でだよこの悪魔
なんで俺のアドレス知ってんだよ気持ち悪い!!
Aいつの間に登録したんだよ
飯伏 薫今日はいい牛肉を買えたので、すき焼きにします。
飯伏 薫そろそろ暗くなりますのでお早めにお帰り下さいね。
いや、無視かよ。
てか聞いといて結局お前が決めるんかい!!
「…はぁ。
晴人、俺帰ろうかな…」
「…うん、そうだね。
もう6時半だし
そうした方がいいよ。
帰り道、気をつけてね。」
「おう、ありがと。
また明後日、見舞い来るから。」
「…うん、楽しみにしてる。」
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作者名:みゅん | 作成日時:2020年4月25日 8時