梔子 弐

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『鬼の血ように、陽の光でなくなる訳でもない。』

賁｢．．．鬼の血は、陽の光で消えるのか。｣

『うん。首を斬った後、鬼の身体は、首は、灰となって崩壊して消えていく。
それと同じ様に、鬼の返り血は、陽の光で灰となって消えていく。』

賁｢．．．｣

『鬼は、骨も残らない。』

賁｢．．．そうか。｣

『．．．あの呼吸は、龍の呼吸は、完成していない。』

賁｢！｣

『完成させて、より確実なものに．．．自分のものにしなくては．．．』

賁｢．．．反動が凄かったんだろう？無理をしすぎるなよ。｣

『．．．善処する。』

賁｢善処．．．｣

『．．．数日もすれば、私は回復する。』

賁｢．．．｣

『そしたら、稽古を始めよう。』

賁｢．．．確かに、俺は大した怪我もないから平気だ。いつでもな。
だが、お前は違うだろう。あの反動は、数日で回復するものなのか？｣

『私は、柱だからね。回復は速いよ。』

賁｢．．．しばらく、無理は禁物だ。｣

『うん。』


Aが、寝台から降りようと動く。


賁｢！．．．立てるか？｣

『．．．いけるはず。』

賁｢．．．ほら。｣

『！．．．ありがとう。』


差し出された手を取り、立ち上がる。

が、

ｶｸﾝｯ


賁･貴｢『！？』｣


崩れ落ちそうになったところを、また、王賁が受け止める。


賁｢大丈夫か？｣

『．．．ねぇ、』

賁｢どうした？｣

『私、足、怪我したっけ．．．』

賁｢あの服のおかげか、少なくとも切り傷は無かったはずだが．．．｣

『打撲した覚えもない．．．』

賁｢．．．怪我は、あの服から出ている部分以外なかったはずだ．．．怪我の報告の際にも、打撲等の報告も受けていない。｣

『何で．．．』


再び、立とうとすれば、


『！』

賁｢立てたな．．．｣

『何だったんだ．．．』


無事立てた。


賁｢．．．あ、そうだ。｣

『？』


王賁が、何かを出す。


賁｢これをやろう。｣

『！！』

賁｢麃公が討たれたという日、Aの髪に髪飾りの破片を見つけてな。砕けたんだろう。｣

『うん．．．』

賁｢新しい髪飾りだ。これからはこれを着けるといい。｣

『ありがとう．．．』

賁｢あァ。｣


それで、髪を束ねる。


賁｢(思った通り、)良く似合う。｣

『！ふは、ありがとう。』(ﾆｺｯ

賁｢(口に出ていたか．．．)あァ。｣


他人と比べ、表情の動きが少ない二人。

それでも、やはり動きはあり、気付く人はきちんと気付く。

誰にでも分かるような、大きな表情の動きもある。

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