梔子 弐

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そこには髪を下ろしている王賁と


恬｢やっほー｣


蒙恬。


『．．．』

賁｢邪魔だったら追い出す。｣


とりあえず中に入り、座る。


恬｢来ると思ってたよ。信がご立腹だったもんね。大丈夫？｣

『．．．うん。』

賁｢何をされた？｣

『．．．叱られた。』

賁｢．．．何をだ？｣

『．．．帰らなかったこと。』

恬｢え？｣

賁｢今までもあった事なのにか？｣

『うん．．．』

賁｢．．．ほう。よし。分かった。今回ばかりは親の力を使おうそうしよう。｣

『え』

恬｢過保護だね〜｣

賁｢父上もAを気に入ってるしな。それに一人脱却させるくらい簡単なことだ。｣

『．．．何もしなくていい。しないで。』

賁｢．．．それでいいのか？｣

『うん。』

賁｢そうか．．．なら何もしない。好きにするといい。何かあれば俺や父上が全力で援護するからな。｣

『．．．うん。』

恬｢Aちゃん、ここでは楽にしよ？｣

『．．．』

恬｢ほら、だーれも入ってこないし、聞き耳も立てられないし、見られない。｣

『！』

恬｢また信が来たら、昨日みたいに俺が帰らせるし。
ここには俺達しかいないんだから。ね？｣

『．．．』(ﾌﾜｯ

恬･賁｢｢！｣｣


Aが、少し目を見開いたあと、眉を下げて微笑む。

飛信隊に入ってからも、常にと言っていいほど張っていた気を初めて解く。


恬｢うん。いい顔。｣(ﾆｺｯ


Aが動き出す。


賁｢！｣

『．．．サラサラ。』


王賁の髪を触る。


賁｢．．．｣

恬｢ね。サラサラだよね。王賁の髪。｣

『さらさら〜』

恬｢サラサラ〜｣

賁｢．．．｣


今度は、Aの髪に王賁が触れる。


『！』

恬｢お。｣

賁｢．．．ふわさら．．．｣

恬｢おー！ホントだ！ふわさら〜｣

『蒙恬柔らかい。』


蒙恬の髪は柔らかいらしい。

髪の触り合いっこが終わると、Aが寝転ぶ。


『．．．』(ｺﾞﾛﾝ

賁｢．．．それで寝るのか？｣

『ん〜．．．』

賁｢その服は柔らかくないだろう。着替えたらどうだ？｣

恬｢たしかに。その服超丈夫だもんね。｣

『．．．』

恬｢でも戻りたくないAちゃん。｣

賁｢．．．着心地のいい服を貸す。｣

恬｢いやサイズ。身長差と体格差。｣

賁｢どうにかなるだろ。｣

恬｢なるとは思うけどね。｣

賁｢ここで寝る時は貸してやろう。楽にするといい。｣

『！』

賁｢どうする？｣

『．．．借りる。』

賁｢あァ。それでいい。｣(ﾌｯ

恬｢(笑った)｣

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