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二十挺:六畳の宇宙 ページ21

妖怪と霊は別物である。


では、神様は何物なんだろう。


妖怪、霊、
どちらに分類されるのだろう。




小さな細い手が
私の腕を掴む。




これは誰?




神)「火枝、消されたくなければここを立ち去れ」


幼い声が強力な言霊となって部屋中に響いた。
窓も開けていないのにざわわと風が起こる。


神様の‘覇気’は渦を巻き
この狭い部屋を容易く呑み込んでしまった。

六畳の部屋が異世界となる。



火)「うげげ なんでそんなに怒ってるの?
まだなんもしてないのにさぁ」



火枝は神の覇気を前にして若干ひるんだ様子を見せながら
相変わらずへらへら笑っていた。

そんな彼の態度が少年神様の気に触れたのか、
まるで火に油を注いでさらにそこにマッチを投げ込んだように
六畳の異世界は大きな音を立てて捻じ曲がる。


神様の力とか、よくわからないけど私もこれにはびびる。



思わず神様の小さな手を強く握ってしまう。





神)「失せよ」



神様の呟きと共に
火枝を小さな宇宙が包み込む。


今までにやけていた火枝の顔が
やっと険しい表情に変わる。




火)「ちょっと待ってほんとに殺す気!?
ま、まって、話せばわかるってばぁ!!」


猫のような目がカッと開く。
それから彼は醜く命乞いをしたが
神様が動じるわけもなく。



宇宙はズズズと火枝を飲み込もうとした。




そのとき





火)「いや!!ここで死ぬわけにはいかない!!!
やっと俺は運命の人と出会えたのだ!!!!」



彼はわけのわからないことを叫ぶと
神様の宇宙に対抗するように
火炎の竜巻を放つ。


A)「ちょ、家が燃…!!!」



突然の炎に焦ったが
不思議と全く熱くない。



神)「くっ!!鬼火か!!!」



火枝の反撃に一瞬神様はひるんだ。
その隙をつき、火枝はあの「影の姿」に変化する。








それから何が起こったのかわからないが、
気が付いた時には
部屋に火枝の姿はなかった。



神)「畜生が!!!」


神様が悔しそうに畳に拳を叩きつける。





目の前で現実離れしすぎた光景を見せられた私は
腰が抜けた。




神)「すまない、逃げられてしまった。
あいつを甘く見ていたな…
A、大丈夫か?」


A)「……大丈夫じゃない」





しばらく私の身体はがたがた震え続けた。
神様は私が落ち着くまで
その小さな手で背中をさすってくれた。

神様の手も、あったかかった。




どうやら夢ではなさそうだ…。

二十一挺:神様→←十九挺:少年



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スズラン(プロフ) - アーシェ£さん» いえいえ!ですが、楽しみに待ってます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - スズランさん» すみません今週中には更新いたします!ありがとうございます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
スズラン(プロフ) - いつ更新されますでしょうか?続きが気になります! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - 白紙さん» ほんとですか!嬉しいですありがとうございます!頑張ります^^! (2015年1月10日 11時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
白紙 - すごい読みやすくて面白いです!投稿頑張ってください。 (2015年1月8日 12時) (レス) id: 28fb1f4f57 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:逃避 x他1人 | 作成日時:2014年10月27日 1時

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