十一挺:夜 ページ12
初めてあんな恐怖を抱いた。
そう言って弟は震えていた。
あいつの姿は「黒い影」だ。
そう言って弟は震えていた。
あいつまだ家の中にいるの?
ばぁちゃんいないのに?
そう言って弟は
さっきから私の側を離れない。
A)「・・・お風呂入ってくる」
私もあの「あやかし」の存在が怖かったが
いつまでも怯えていてはいけない。
ばぁちゃんが病院に運ばれようが
家の中を邪悪な霊魂が浮遊していようが
時間は進むのだ。無駄にはできない。
私は私の生活を貫き通す。
学校生活に対してはボロボロのグッズグズだが
こういうことに関しては割とたくましい
私のメンタルである。
しかし棕櫚は本当に
「あやかし」を怖がっているようで。
棕)「ひ、一人にすんなよ!!
俺も一緒に入るっ!」
とか言い出した。
A)「ぇ」
引き離そうとしても
めちゃくちゃしつこくて
しまいには泣きそうになられたので
しかたなく弟と
お風呂に入りました。
☆
夕飯は母が作り置きしてくれていた。
味が全くしなかった。
母は
倒れたばぁちゃんのことで頭がいっぱいで
味付けを忘れていたようだ。
母の焦りや不安を食べているような気がしてきて
思わず泣きそうになったので
慌てて塩をかけた。
その後
私は自分の部屋で課題を片付けた。
弟も私の部屋に避難して
ベッドの上のクッションを抱きながら
ゲームをしていた。
☆
23時ごろ。
携帯に父から電話がかかってきた。
液晶の奥で
父の声が聞こえる前に
「ばぁちゃんは!?」と訊いてしまった。
父は私を落ち着かせるように
静かな調子で言った。
父)[ばぁちゃんは今のところ大丈夫そうだよ。
でもしばらく入院しなきゃいけなくなった]
身体の力が一気に抜けた。
入院することになってしまったのは心配だが
私はこの数時間 何度も
「最悪の事態」を想像してしまっていたからである。
よかった。
本当によかった。
電話を切り、父と別れた。
両親は今夜は病院に泊まるそうだ。
A)「棕櫚、ばぁちゃん大丈夫だってさ」
私のベッドで寝に入っている棕櫚に
小声で報告した。
弟は寝ぼけながら
喜んでいた。
・・・。
ベッド占領されてしまった私は
どこで寝よう。
部屋は静かになった。
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スズラン(プロフ) - アーシェ£さん» いえいえ!ですが、楽しみに待ってます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - スズランさん» すみません今週中には更新いたします!ありがとうございます! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
スズラン(プロフ) - いつ更新されますでしょうか?続きが気になります! (2015年5月11日 18時) (レス) id: 0e2db3a51c (このIDを非表示/違反報告)
アーシェ£(プロフ) - 白紙さん» ほんとですか!嬉しいですありがとうございます!頑張ります^^! (2015年1月10日 11時) (レス) id: 71dd7d321a (このIDを非表示/違反報告)
白紙 - すごい読みやすくて面白いです!投稿頑張ってください。 (2015年1月8日 12時) (レス) id: 28fb1f4f57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:逃避 x他1人 | 作成日時:2014年10月27日 1時