検索窓
今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:23,007 hit

ページ19

次の日連絡が来た、振り込んだから確認してくれと。

きっちり30万振り込まれていた。
あたしは落ちる所まで落ちたのではないか?
何人も相手にする訳ではないが、変わらないのではないか...
確認したよ、と連絡を入れる。
返信に、学食で昼食を、と書いてあった。

-----
構内で待ち合わせると、二福は手を恋人繋ぎにした。
「ねぇ、これも...」
「そうですよ?」
意地悪さをうまく隠して綺麗な笑顔を浮かべる。
いつも向かい合って座っていたのに、隣に座る。
「Aは気づいてなかったみたいですけど、結構周りから人気でしたよ?バイト代払ってるんで、虫が付くと困るんですよね」

ベンチで待ち合わせていると、腰に手が回ってきて本の内容や感想を普通に聞かせてくれる。
こんな話もしようとすれば出来るんだ...そして、契約してから意地の悪さは出さなくなった。
周りの目を気にせず講義に向かう時はキスをして見送られる。
連絡の文章も丁寧になったが...逆にそれが怖さを煽る。

夜、連絡が来た。
部屋へ向かうとワインが用意されていた。
「先にシャワー浴びてきなよ?」
「そうする...」
口調は部屋でも、構内でのものと全く変わらなかった。

部屋で飲んでいると、二福が1枚の写真を見せてきた。
「この子の名前はリゼ。Aに似てると思わない?」
「...うん」
「僕の恋は叶わなかったんだ家の都合で。だから、バイト代払うから...この子の代わりになってくれない?これが僕の本音...君が強気だったから少し意地悪したくなっちゃったけどね?」
「...いいよ。それだけ忘れられないんでしょ?」
「あと1つ、ここに来たら、Aではなくリゼと呼ぶ」

-----
「ワインはお気に召してくれたかな?」
「うん、すごく好みだよ。さすがだね二福」
「リゼが喜ぶなら、なんだってするよ」

いつもとは違う、優しい綺麗な笑顔に胸が苦しくなった。
本当は、彼は普通に恋をしたかったんだ...

「結構飲んだね〜二福は眠くないの?」
「時間も時間だし、そろそろ寝ようか?」

あたしを横たえ、こちらを向く。
「二福は腕枕してくれないの?」
「したら止まらなくなっちゃうよ?」
「...いいよ」

彼は恋人の様にキスをする。
触れる様に感触を楽しみ、ちゅっと離れ深いキスに変わる。
彼の意外にも純粋な一面に惹かれてしまっていたのかもしれない...でもこれはバイトだ。
あたしは産まれて初めて男性と、偽りの彼と体を交えた。

彼の目はあたしを見ていても、あたし自身を見てはいなかった。

4→←2



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
24人がお気に入り
設定タグ:東京喰種 , 短編集 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年3月24日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。