PSYCHO-PASS～付き纏う孤独～【狡噛慎也】 (ページ5)

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「そろそろ行くか...」
「はい」
シンデレラの魔法も0時には解ける。
車に乗ると無言になってしまった...もうすぐあの気が重くなる局...を通り過ぎた。

「まだ帰りたくないんだろ？」
「え？聞こえちゃったんですね...狡噛さんには敵わないですね」
「眠気には強いからな、俺も外をいつまでうろつけるか分からない。ドライブでも付き合え」
頷くと、また笑顔が戻ってきた。

頭もよく、空気も読めて実に人間的な彼に感心した。
少しでも誰かに肩入れしてしまうと、色相は濁るものだと思っていた。
この人はそんな事を少しも見せない人だった...
「みんなに平等で強い...狡噛さんは何でそんなに強いんですか」
「俺は強くはないと思うぞ...ギノにもよく言われるな...「「色相が濁るぞ！」」
そう言ってお互い笑った。

「濁るような人付き合いもあれば、そうではない人付き合いもあると俺は思うけどな。恋愛などは例外だが。相応しい相手ならむしろ好転するだろうし、逆なら濁る」
「そうなんですね。恋とか考えた事なかったです」

あんな檻の中でも人を思う事は自由だ、と彼は言った。
「ま、佐々山みたいな男なら勧めないがな」
笑った後にくしゃみが出ると、彼は上着をかけてくれた。
帰ろうと言いかけた時、咄嗟に彼の袖を掴んでいた。
「ならせめて車の中で話そう」

「狡噛さんと行動したら、佐々山さんが付いてくるんですよね...」
「なら側から離れなければいいだろう？ギノにはあいつは重荷だろう」
「あたしもそう思います。でも宿舎が怖いんです...監視官が居ないあの空間が。すれ違ったりしますよね...」
「お前は対象相手でも手抜きしないじゃないか」
「対象より執行官の方が手強いんですよ？トレーニングルームとかもあるし...みんな鍛えてますし」
「いい対処法があるが、お前には難しいと思うぞ？」
「なんです？」
「女の魅力を振り撒いて油断させたら、アッパーだな」
笑って言うが、女の魅力を振り撒く方法が分からない。
「女の魅力が分かったら、もしもの時はそうします」

無言だったり長く話したりそれを繰り返していた気がする...

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朝起きると、自分の部屋で寝ていた。
ここまで運んでくれる人は、1人しかいない。

それを考えると顔が赤くなった。
あたし...触られても大丈夫だったんだ。

狡噛さんが言っていた意味が分かった気がした。
相手次第で好転したり濁る、というその意味が。

測定してみて自分の色相は好転していた。

自分が恋をしても、罪ではないのだ。