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1つだけお願いがあると、ギノさんは言った。
「いいよ...」
眠るまで1つの望みをきいた。
ぎのさんは、朝あたしに見せてくれた。
彼の色相はちゃんと規定値内に安定していた...
「よかったね...頑張ってよ?監視官!」
あたしは皆からどんな接し方をされるのか。
あたしは遺伝的に兄に近いが、兄とは違う人間なのだと分かってもらえるのか...
不安しかない。
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数週間後、狡噛さんは執行官として戻ってきた。
ギノさんは狡噛さんにツラく当たる様になったのが見ていて辛かった。
102の少し前に入ってきた弥生ちゃんと征陸さんだけが癒しだった。
そこに新任執行官として縢秀星が加わった。
足らないのは監視官だというのに。
あたしはもう必要ないんじゃないか、と激務中のギノさんに2係に移動を頼むも、縢の面倒くらい見れるだろう、2係は人は足りてると怒られた。
見れない。
だって、現場では彼の方が役に立つ。
あたしは縢の報告書の面倒しか見れないのに。
未だにまともに戻ってきた狡噛さんの顔が見られなかった。
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就業後、お互いに非番が被った。
部屋にきた狡噛さんに見せられた...ピンボケの端末の画像...ファイル名はマキシマ。
「これどうだ?」
「そうです兄です...ごめんなさいごめんなさいごめんなさい...」
泣き崩れるあたしを狡噛さんは抱きしめた。
「ギノさんに話しました。そうだとしても、何か犯罪に関与した確たる証拠が上がらないと意味がないと言われてしまって。モンタージュも証拠が出ない限りは出来ないと...あたし止められなかった佐々山を。抱きしめて行かないでって引き留めたのに...あたしのせいでっ」
ただ泣くしかないあたしの頭を抱えながら言い聞かせる。
「道連れか...佐々山はお前の兄だと勘付いても、お前への接し方を変えたか?お前の責任じゃない、佐々山から目を離した俺の責任だよ」
「狡噛さんは...あたしを憎まないの...?」
「お前も奴の被害者だろ?AはAだよ」
「狡噛さんに嫌われると思ってた...」
「そんな訳ないだろ。お前と佐々山の為にも奴を次は捕まえてみせるよ」
涙を拭って落ち着くまで側にいてくれた。
「それに...もう監視官じゃないぞ。それでも選べないのか?」
「もう離れてどこかに行かないでね」
「お前こそ、もうギノを泊まらせるなよ?」
初めて好きな人に抱かれた。
ベッドで抱きしめて彼は言った。
「Aとしか呼ばないがな」
「ギノさんもそうしてくれるって。あたしも姓では呼ばれたくないよ」
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作者名:馨 | 作成日時:2020年3月19日 12時