オレンジ色 ページ9
読み通り、志恩のラボの前で狡噛さんが動き出すのを聞いた...
先回りして征陸さんの部屋の前で待っていると出て来た。
「あたしも狡噛さんと同じ事すると思う...期待に応えて下さい。多分あたしは狡噛さんの捜索か即時処分を命じられる...最後の時はあたしが絶対に狡噛さんの身を守るよ。だから...」
涙が零れると抱きしめてくれた。
尊敬する先輩だ。
「俺がちゃんと決着を付けるさ、縢の分も。約束する」
先輩にしがみ付き泣けるだけ泣いた。
「係数300オーバー寸前なんです。だから..最後に狡噛さんと縢の信じたものをあたしも守りたい。それまでどうか無事でいてね、狡噛さん...そこであたしも終わらせてください」
「そうなってもらっちゃ困るんだがな」
「...どのみち処分は時間の問題だから」
「A、任せておけ」
「狡噛さんに託します」
涙を拭い、背中を見守った。
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ストレスケアのサプリには手を出してなかった。
最後の時の為に飲むのを欠かさなくなった。
今の係数は281、下げなくてはならない。
彼が消える前にした事、あたしも狡噛さんをサポートしなきゃ。
ね？...テーブルのジェリービーンズを眺める。
あたし達を引っ張ってきた狡噛さんを信じよ？
一粒摘む、彼の髪の色によく似たオレンジ。
オレンジは〈安心〉
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夢を見た...
あたしがドミネーターを向ける、その相手。
一瞬困惑した顔をした。
やだ撃ちたくない！やめて！
そしてふっと諦めた顔をして皮肉な笑みを浮かべる。
次の瞬間、あたしは撃った...
起きると凄い汗で気持ちが悪かった。
でも、夢で良かった。
彼がどんな係数を出してもあたしには撃てるはずがない。
でも、なんでこんな夢を見たのか...
係数は283、サプリを飲む。
ジェリービーンズを齧ると安心した。
もうやるべき事は分かっている。
あたしはただ狡噛さんの残したヒントを追う皆に混じって、征陸さんの言う通りただボールになる。
投げられ転がり低い所へ転がって行く。
あたしはそういう風に立ち回るしか残されていない。
できるだけ、朱ちゃんの側を離れないよう行動すると決めた。
一度哀れんだ目で、辛そうに言われた。
「Aさんは思っていたより強いんですね...」
あの時から朱ちゃんの様子が変わり、狡噛さんの様に考えるようになった。
あたしへの一言で、何があったのかなんとなく解った。
「朱ちゃん、あたし強くなんかないよ？今あたしは縢が最後にした様に、出来る事をするだけ！」
本当にそれだけなんだよ。
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馨(プロフ) - ゆりあさん» コメントありがとございます！結末悩みましたが、残された1係が直向きに活躍していたので悲劇にしました。最後の3ページは本当に言葉を選び書きましたが、ゆりあさんが全てを汲み取って読んでくれたので嬉しさと感謝しかないです。本当にご愛読ありがとうございました！ (2021年9月2日 11時) (
レス) id: 1060b5bb4b (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - 私も彼の最後を飲み込むのにはかなりの時間がかかり、乗り越える事は未だに出来ていません。それぐらい、やるせない終わりだった様な気がします。彼女の葛藤や、最後の選択が、彼女なりの愛と覚悟だったように感じました。心に残る作品をありがとうございました。 (2021年9月2日 0時) (レス) id: 047cedd0b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：馨 | 作成日時：2020年2月8日 5時
