検索窓
今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:22,584 hit

赤紫 ページ7

ギノさんが2係の縢追跡に狡噛さんを当面配属する、と捜索から抜けないよう画策した。
その時、ドローンが一斉にサイレンを鳴らし局長がやってきた。
局長の話ではどんな手段でも槙島を保護したいらしい。
狡噛さんの行動を罰しろと、局長がギノさんへ促す。
自身の管理不届きの罰でもある為...躊躇いがちに構えたギノさんのドミネーター...犯罪係数は265、普通ならパラライザーだ。

そうだ、と局長が手を添えた瞬間、瞬時にドミネーターがエリミネーターに変化。
即座に朱ちゃんがパラライザーで狡噛さんに対処。

その場の全員に動揺が走った。
手を添えるだけでドミネーターの機能を変化させられる。
きっとこれだ。
縢秀星もこうやって地下で消されたと皆が理解した瞬間だった。

------
解ってしまうと早かった。
あたしの犯罪係数は273にまで上がった...
狂った公安局、笑えてきた。

暗い部屋で憤怒と悲哀に支配されその数値を眺めていると...いつの間にかギノさんが目の前にいた。

「おい!しっかりしろ!こんな姿は縢も望まない...」
「存在しない人間は何も望めないよ、ギノさん」
ギノさんはソファーに座った。

あたしは一粒摘み眺めて口の中に入れ味わう。

これはラズベリーピンクかな?味はラズベリー。
赤紫に見えるカラーの意味は〈幸せ〉

「これしか食べてないのか?随分痩せたな」

「食欲湧かないんです...早く秀くんの所に行くのがあたしにはきっと幸せなんですよ。見たでしょギノさんも?...こんな世界のどこに正義と秩序が?彼は消える瞬間までは、槙島達を追うという正義の為に動いていた。彼はここで公安で生きる事が生き甲斐だったの...生き甲斐って楽しみって意味じゃないんですよ、知ってます?行き甲斐とは、それをしないと生きていけないって意味。執行官は本当の生き甲斐を知ってる。だから...クソだと言いながら槙島達を追ってた彼はギリギリまで幸せだったはず」

「そうだな...あの状況を前にした俺にももうお手上げだ」
「あんなの見せられたら、正義や秩序を保つ意味が分からないです。彼が人間に殺されていたら、あたしの正義も保てたかもしれない。...シビュラに排除されたなんて。もう何も信じられないよ」

「俺の為にも...いなくならないでくれ」

弱々しく疲れて笑いかけるギノさんの口にもラズベリー味を一粒口に入れてあげる。

「ギノさんの幸せは何?....また秀くんに会いたいな。もう消えたいよギノさん」

2人で黙って暫く虚無という時を共有した。

パステルピンク→←赤色



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (61 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
42人がお気に入り
設定タグ:PSYCHO-PASS , 縢秀星 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - ゆりあさん» コメントありがとございます!結末悩みましたが、残された1係が直向きに活躍していたので悲劇にしました。最後の3ページは本当に言葉を選び書きましたが、ゆりあさんが全てを汲み取って読んでくれたので嬉しさと感謝しかないです。本当にご愛読ありがとうございました! (2021年9月2日 11時) (レス) id: 1060b5bb4b (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - 私も彼の最後を飲み込むのにはかなりの時間がかかり、乗り越える事は未だに出来ていません。それぐらい、やるせない終わりだった様な気がします。彼女の葛藤や、最後の選択が、彼女なりの愛と覚悟だったように感じました。心に残る作品をありがとうございました。 (2021年9月2日 0時) (レス) id: 047cedd0b0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年2月8日 5時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。