紫色 ページ4
槙島の移送は1係の仕事ではなかった。
そして逃げられるなんて。
絶対に何か変だった。
その頃にはあたしの犯罪係数は137。
まだ更生施設へ連れて行かれたくない。
自分は何もできてない。
捕まえなくちゃ復讐にならないから。
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秀くんは許されてたのに、あたしは黒いワイシャツは許してもらえなかったな....
寝る時、少し大きめのそのシャツを着てみた。
そして一粒、ジェリービーンズを食べる。
紫色のそれはグレープ味。
紫は〈欲望〉
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シャワーを浴びて、秀くんの部屋へ行った。
「どしたの、Aちゃん」
「眠くな〜い...寝るとこだった？」
「まだまだ。大人の時間はこれからじゃんか」
にやっとした彼はお酒を分けてくれた。
「弱いんだからこれだけ！ほらっ」
「年変わらない癖に、また子供扱いして」
「してないよ〜それくらい飲めば寝れるっしょ？」
飲みながらあたしの犯罪係数上昇の話をしたら笑われたっけ...
「彼氏にフラれてそいつ殴るとか！Aちゃん、やっぱり執行官向いてるって！」
「子供なら普通じゃない？」
「子供っても相手彼氏じゃん？14歳て子供なのそれ〜？ね？ね？Aちゃんもキスとかした？」
「も、って何？秀くんした事あるの？」
「普通付き合ってたらすんじゃねぇの？そんくらいの歳ならさ〜俺は更生施設にずっといたから白だって知ってんだろ...」
「じゃあ、も、ってなんなの？」
あたしも長くいたけど、彼はもっともっと長くあの更生施設にいたんだ。
ちょっとムッとしたのが可愛くて、酔っていたのもあって、揶揄ってみた。
怒ってんの？挑発して隣に座った。
「更生施設のお姉さんにチュッていきなりしてるかと思っただけだよ？」
「しねぇーよ！年上すぎんだろっ」
話の内容的に自然と唇に目がいく。
次の瞬間、彼にキスをしてみた。
「どう？どんな感じ？」
「お前さ、やっぱ俺の事揶揄ってる？」
「揶揄ってないよ？ムッとしてるの可愛いなと思ったらしてた...」
そういうとふわっと抱きしめられた。
「こんなにムードとかねぇもんなのかよっ」
しばらく抱きしめ合って頬にキスをした。
こっちを向いた時にゆっくりとキスをして、首筋に顔を埋めた。
「...恥ずかしいんだけど」
「随分と可愛らしい事言うじゃない」
感触を楽しむ様に頭を撫でて、今度は秀くんからあたしにゆっくりとキスをした。
「俺ってばAの彼氏になれちゃった？」
そうやってムードを台無しにする。
そんな彼が今無性に恋しい。
会いたいよ...
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馨(プロフ) - ゆりあさん» コメントありがとございます！結末悩みましたが、残された1係が直向きに活躍していたので悲劇にしました。最後の3ページは本当に言葉を選び書きましたが、ゆりあさんが全てを汲み取って読んでくれたので嬉しさと感謝しかないです。本当にご愛読ありがとうございました！ (2021年9月2日 11時) (
レス) id: 1060b5bb4b (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - 私も彼の最後を飲み込むのにはかなりの時間がかかり、乗り越える事は未だに出来ていません。それぐらい、やるせない終わりだった様な気がします。彼女の葛藤や、最後の選択が、彼女なりの愛と覚悟だったように感じました。心に残る作品をありがとうございました。 (2021年9月2日 0時) (レス) id: 047cedd0b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：馨 | 作成日時：2020年2月8日 5時
