黄色 ページ2
まだ狡噛さんも公安局にいる、安心する。
それも相まって、縢をふと思い出してしまう。
宿舎という彼のいない牢獄で、あたしの着用する部屋着は全て受け取ってきた彼の私服だ。
朱ちゃんのせめてもの優しさなのかもしれない。
ギノさんとあたし達はこの世にいない縢の捜索をしている。
こんな事に時間を割いて....無駄でしかないのに。
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まだ沢山詰まった瓶を眺め一粒の黄色いジェリービーンズを摘み見つめた。
色とは感情を表すものでもある。
黄色、レモンイエローは〈好奇心〉
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初めて1係に配属された時を時を思い出す。
「みんな真面目だし他はおっかねぇ女ばっかりじゃん？さすが公安局〜って感じ。昼一緒に食べに行かねぇ？」
まさにぴったり、黄色のジェリービーンズの思い出。
「俺も5歳で弾かれて、更生施設施設で育ったんだよね〜Aちゃんも同じなんだ！？俺たち気が合いそうじゃん？俺料理好きだから、こんな不味いのよりもっとマシなもん食べさせてやんよ！」
「本当に？人に振る舞えるくらい？」
「もち！1係のみんなも喜んでたぜ？今度仕事の後に食べに来なよ、Aちゃんなら大歓迎〜」
あたし達は意気投合して、仕事の昼休憩を取れる時も一緒に食べ、彼は公安を皮肉り笑わせてくれた。
少し先輩である秀くんとセットで行動を共にする事も多くなった。
彼の隣にいると対象犯を前にしても頼もしく感じ、何にでも立ち向かえると思えた。
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約束の日。
秀くんの部屋に行くと何品か出来上がってるのに、まだ調理している。
部屋にあるボードゲームより、調理する秀くんの手際の良さに目がいってしまった。
「秀くんて仕事で軽口叩く癖に、料理出来るなんて器用だったんだね〜意外」
「不器用に見えてた〜Aちゃん？」
爽やかな笑顔の秀くんに見惚れてしまったのを、今でもまだ覚えている。
ま、どの思い出もすぐ思い出せるけど。
料理はどれも絶品で、秀くんはかなり自慢気。
お酒の弱いあたしは秀くんのソファーで朝まで眠ってしまった。
ふと起きると、あのまま飲んでいたのか...彼もソファーで寝ている。
ベッドのある所から掛けるものを探してきて、そっと掛けたつもりが、起こしてしまった。
「掛けてくれの〜あんがとっ。まだ飲む〜？」
「いい。仕事までもう少し仮眠取ってってもい？」
「じゃ、一緒に掛けよっ？これデカイしAちゃんも寒いっしょ？」
ちゃんと女の子に気を使い、優しくしてくれる人なんだと初めてその時に知った。
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馨(プロフ) - ゆりあさん» コメントありがとございます！結末悩みましたが、残された1係が直向きに活躍していたので悲劇にしました。最後の3ページは本当に言葉を選び書きましたが、ゆりあさんが全てを汲み取って読んでくれたので嬉しさと感謝しかないです。本当にご愛読ありがとうございました！ (2021年9月2日 11時) (
レス) id: 1060b5bb4b (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - 私も彼の最後を飲み込むのにはかなりの時間がかかり、乗り越える事は未だに出来ていません。それぐらい、やるせない終わりだった様な気がします。彼女の葛藤や、最後の選択が、彼女なりの愛と覚悟だったように感じました。心に残る作品をありがとうございました。 (2021年9月2日 0時) (レス) id: 047cedd0b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：馨 | 作成日時：2020年2月8日 5時
