クレハの脱出 ページ25
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パンッ パンッ
別の場所では激しい銃撃の音が鳴っていた
「飼犬を取り押さえろ!」
将校の荒い声は銃やサーベルを持つ海兵達を動かし、ターゲットとなっているクレハに攻撃の指示となる
「ったく、海軍ってのは厄介なもんだな」
攻撃を避けては蹴りや突きを入れていたクレハはというと、そろそろ飽きてきたと言いたげな表情を浮かべてる
それが海兵達の中で苛立ちを募らせることになってるとは思ってもない
…実際はメノウに付けられた腹の傷から溢れる血が止まらないことで軽い貧血をおこしてるのだが
「もらったぁあ!!」
「あ」
背後から襲ってきた海兵の一人にクレハはそのまま背中を斬りつけられた
「よし!やったぞ!!」
海兵達は歓喜するのも束の間、地面にはクレハではなく一つの丸太が落ちていたことに気づき
一気に動揺に変わった
「飼犬じゃないぞ!」
「丸太?」
将校も動揺するがすぐに冷静さを取り戻して怒鳴り散らした
「まだ近くにいるはずだ、探せ!」
「は、はっ!!」
海兵達の混乱とした中で一人の海兵がその場から駆け足で消えたことには誰も気がつかなかった
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ボフン
「撒けたか…と」
白い煙がボソリと呟く海兵の体を覆い、出てきたのは先程海兵達が血眼(ちなまこ)になって探していたクレハだった
(応急処置はしたが…やっぱり縫わねぇとだめか)
数分前よりも息が荒く、右手で押さえている部分からは血が服から滲み出て滴り落ちていた
地面に寝そべると襲う鈍い痛みにうめき、それを和らがせる為に深く息をはいた
相当辛いはずなのにクレハは二つ三つ深呼吸をすると喜ぶようにクツクツと笑った
「一応、これで天竜人お抱えの飼犬の俺は自由になれたか」
まだまだ不安要素はあるが、まぁどうにかなるだろうという安易な思考はさておき、クレハは麦わら一味に託したメノウを思い出す
(メノウには受け入れがたいことをしたのは申し訳ないが…あいつの為だ)
ずっと前にあった“あの時”のように…
「ッ…とにかく、シャクヤクの所に行かねぇと」
体を起こしてこうしちゃいられないと気持ちを切り替え、海軍に見つからないよう傷を押さえながら一歩一歩足を引きずりながら歩いた
ドォォオオン!
「!!」
不安定になりつつある意識が近くで砲撃した音によりはっきりしたクレハは増援が来たのかと顔をそちらに向けた
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華月(プロフ) - タピオカさん» お褒め頂きありがとうございます!!ファンタジー小説を読んでこういう書き方が分かりやすいのかな?と試行錯誤してます。これからもよろしくお願いします! (2015年8月25日 20時) (レス) id: f42ef30e33 (このIDを非表示/違反報告)
タピオカ - 文才がすごいですね、尊敬します!更新ファイトです! (2015年8月25日 20時) (レス) id: 5d4b1ab893 (このIDを非表示/違反報告)
華月(プロフ) - misyou.goさん» おお…ナルトの作品だけでなくワンピースの作品まで…!本当にありがとうございます!頑張ります! (2015年8月6日 18時) (レス) id: f42ef30e33 (このIDを非表示/違反報告)
misyou.go(プロフ) - この小説面白いです!!更新頑張ってください!! (2015年8月6日 15時) (レス) id: 38e98ebc28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華月 x他1人 | 作成日時:2015年7月12日 23時