. ページ17
.
けど、そんな私をよそに、グクは私から離れようとしない。
「今のお前置いてけるわけないだろ。バカか、」
そう言ってグクが、ぽん、と頭に手を置いた。
けど私は、それを無情にも振り払っていた。
ねぇグク。なんで、なんでそんなことするの。
.
『…、やめてよ、
彼女いるくせに。グクは好きな人いるくせに。
…やだ、私、好きになりたくないよ。グクのこと。グクの優しさ、今は痛いだけだよ、』
そう言って、グクを拒絶する。今のこの状況。本当は、何としてでもこの手に縋りたい。けど。
いつまでも甘えてちゃだめだから。ケジメつけなきゃ。
弱い自分に、そう言い聞かせた。
けど。
.
.
「たしかにいたよ。彼女。
でももう、いない。」
.
私の言葉より先に、グクの言葉が、辺りを鎮めた。
.
『…どういうこと?』
「俺の彼女は、3年前に死んだ。ストーカーに悩んで、自 殺した。」
グクのその言葉に、喉が焼けるような、そんな感覚を覚える。
私は、何を言ったらいいんだろう。
放心する私をよそに、ぽつ、ぽつ、とグクが話し始める。
.
3年前、同い年の彼女がいたこと。名前は、キム ユリさん。
ユリさんがストーカー被害にあっていたこと。当時、まだ未成年だった彼らは、警察に取り合って貰えなかったこと。
ある日を境に精神をおかしくしたユリさんが、自ら命をたったこと。
全部全部。グクは話してくれた。
「…警察も大人も、みんな取り合ってくれなかった。だから今回だって、きっと一緒、」
『……グク、』
「……、」
辛そうに俯くグクに、泣きそうになる。
知らなかった。グクにそんな辛い過去があったなんて。
今までこんなに近くにいたのに。私、何一つグクのこと知らなかった。
ふと、右手に温もりを感じた。グクの震えが、手を通して、こちらにまで伝わってくる。
.
「…… なぁA。俺がそばにいるから、
…今度は、ちゃんと守るから、」
そう言って私を見つめるグクを、拒否できるはずがなかった。
その言葉は、私にではなく、"彼女"に向けられた、懺悔のようにも聞こえた。
1204人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちむたろう(プロフ) - さきさん» えぇ、嬉しすぎます!さきさんのストライクゾーンを無事射抜けたようで嬉しいですふふふ!(⌒-⌒)「?」本当に気に入って頂けたみたいで嬉しいです!ありがとうございます.......!! (2020年3月10日 16時) (レス) id: 480aaa9b57 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - ところどころ、「?」につながっているところとかこの犯人が誰かわからない、ちょっと身震いしそうな物語マジでストライクゾーンです。素敵な作品ありがとうございます!!もう私の頭からはストックホルム症候群は離れそうにないです(( (2020年3月9日 22時) (レス) id: 71073e79d4 (このIDを非表示/違反報告)
ちむたろう(プロフ) - いつきさん» いっちゃん…あんた嬉しい事言って…!!!(誰だよ ありがとう!そんなふうに言ってくれて嬉しい!!更新頑張るよ!最後に言わせて、すき(はーとはーと) (2020年2月18日 23時) (レス) id: 4df5af503c (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - すごい引き込まれています…凄すぎます。毎日毎日更新される通知が来るたび見ています、本当に大好きな小説です…。これからも応援しています、頑張ってください( ; ; ) (2020年2月18日 23時) (レス) id: 317f2047c2 (このIDを非表示/違反報告)
ちむたろう(プロフ) - さくらんぼさん» さくらんぼさん!『最後の手紙』、大好きです!(●´▽`●)コメントありがとうございます!嬉しいです!ユンギさんですか…!ふふ、最後までお付き合いくださいね(¯v¯)!素敵なコメントありがとうございました! (2020年2月18日 22時) (レス) id: 4df5af503c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:uni x他1人 | 作成日時:2020年2月15日 17時