【東リべ】わからない彼【場地圭介】 (ページ9)

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いつも通りいられるならページ9

何も言わない私たち二人を訝しげに見る場地。

「おいおい、どうしたんだよお前ら。」

と不思議そうな顔を浮かべながら言う。

千冬は「えっと…あの…」と

目をキョロキョロ泳がせながら困った顔をする。

「なんで場地がここにいるわけ？」

自分でも驚くほどに低い声がでた。

「なんでって…いつも3人で学校行ってるじゃねぇか。

つかなんで怒ってんだよ」

と、困惑した表情を浮かべる。

「別に怒ってないし。てっきり私はこれから

彼女と登校するのかなと思っただけ。」

そういって歩き出すと場地も千冬も歩き出した。

「それが家が反対方向でよぉ、迎えに行くって言ったら

遠いし悪いからって断られて、用事と集会がない日だけ

一緒に帰ることにした！」

そういいながら右側を歩く場地は幸せそうで。

虚しい反面、あまりにもニコニコしている顔を見ると

だんだん腹が立ってきた。

「あーハイハイそうですか。幸せそうで何よりですね。」

と言いながらバックで殴ってやった。

「おいおいなにすんだよ痛ェな！

そんなことしてっと一生彼氏できねぇぞ！」

とニヤニヤしながらからかってくる。

千冬はヒヤヒヤしながら私たちを見ていたが、

私はグッとこらえて

「絶対場地なんかよりいい彼氏見つけて

幸せになるもんねー！！」

なんて言って舌をベッと出した。

場地は「おー、精々がんばれよ～」

と、いまだに馬鹿にしたような顔を向けてくる。

そのあとは何となく吹っ切れて

今まで通り話せるようになった。

3人でいつも通りいられるなら、

それでもいいかなって。

少なくとも昨日よりは、心は痛くなかった。