45話 ページ9
第二部Cadeaux des morts(死者からの贈り物)序章
あの日は雨上がりの日だった。
私は一級昇級がかかった任務の後だった。
無事一級になったことを兄さんに伝えたときのことだった
『兄さん!私ね、一級になったんだよ!今はいないけど、七海先輩と同じ!』
「よかったじゃないか!うれしいなぁ!」
喜びも束の間。
バァァン
銃声がなった。その音を聞いたとき、目の前が真っ暗になった。
「クソッ奴らか…ごめん、A、もう会えないかも、」
『兄さん!?兄さん!?返事をして!!』
ツーツーツー
電話が切れる。
ドクドクドクドク
いつもより早い鼓動が体内で響く。
いやだいやだいやだいやだ。
兄さんも母さんたちみたいにいなくなるの、?
おいかけなきゃ。兄さんにはGPSがついていた。翠さんに特定してもらって!今度は私が助ける。必ず。
翠さんに特定してもらって、兄さんがいるところに向かうまではよかった。よかったのに。
パァァン!
二回目の銃声が響いた。男だろうか、ほくそ笑んだ顔で去る顔が印象的で、たぶん生涯忘れないだろう。
『兄さん!!』
さっきよりも大きな心臓の音が聞こえる。
「ごめんな。A…」『喋らないで!!』
血が止まらない。いやだいやだ。兄さん。置いてかないで。
「もう助からない。」
『そんなのわかんないじゃない!!!私は運が、…』
「呪力をつかいすぎただろう。もうここまできたら助からないんだよ。」
小さな子供を宥めるように、兄さんは私の頭を撫でる。
「できれば桜には、呪術師になってほしくないなぁ。いつも、つっぱしってけがしてくるんだから。」
『それは、兄さんもそうでしょ!!!』
視界がぼやけて前が見えない。死と隣り合わせだったからわかるのだ。もう兄さんは死んでしまうのだと。
『兄さんいって!だれにやられたの!今まで何をしていたの!』
「…」
『必ず兄さんをこんな目に遭わせた奴らを法で捌いてやる!!』
そういう私を悲しそうに見つめ、兄さんは教えてくれた。
黒の組織という組織に潜入してNocとバレてしまったこと。ブルームーンという男が、今回兄さんを暗殺しにきたらしい。最期まで私を心配して兄さんは息をひきとった。
まだ私の復讐は終わってない
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作者名:チョコミント | 作成日時:2022年7月11日 19時