◎ 癒し系彼氏【桃】 (ページ44)

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Aからメッセージが届いてから5分後ぐらい。

自動ドアの向こうに見慣れたシルエットが出てきて、手を振りながら近づいてきた。

「 A、おかえり」

『ただいま、望』

運転席の方に来たから窓を開けて、キスを一つ。

後部座席に荷物を置いてから、助手席に戻ってきた。

『全部つけちゃう！』

「俺もつけよーっと」

ピアスやらなんやらをつけて、指にはお揃いのリング。

右手の薬指につけておく。

「よし、じゃい行こっか？」

『うんっ！』

窓を全開にして、俺たちの好きなアーティストの曲を流す。

わざと海沿いを走ってみて、気持ちいい風を感じる。

『気持ちいいね～海は』

「そうやなぁ、綺麗やもんな～」

これから行く旅行先は、まだAには伝えてない。

びっくりさせて、喜んでもらいたい。

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『関空とうちゃく！』

「ふふ、ウキウキしてますなあ？」

『そりゃもちろんっ！』

キャリーケースを引きながら、手を繋ぐ。

荷物を預けて、手荷物検査をして、飛行機の中へ。

『え、待って、この飛行機って… 』

「そっ、ファーストクラス♪ 」

『そんなにお金あるのっ！？』

ボソッと俺に聞いてきた。

そりゃもちろん。

Aも頑張ってくれてるし、カフェの経営だって大繁盛。

不自由しないし、贅沢できるぐらいのお金は溜まってる。

「ふふ、思う存分楽しみや？」

『望だいすきっ！』

「俺もやで」

先に飛行機の中に乗り込めるから、他のお客さんとも会わなくて済む。

まぁ、貴婦人さんなんかはおるけど。

『望、わたし飲み物、… 』

「 Aはお酒飲めへんから、…ジュースにしよっか？」

『わたしペットボトルでもいいかな…？』

「んふ、ええよ(笑) 」

俺の手荷物の中からペットボトルのジュースを渡す。

一口飲んだAは生き返った顔をして、ニコッと笑った。

『どこ行くかわかんないけど楽しみっ！』

「んん、まだ言えへんなぁ？」

『楽しみにしてるもんっ！』

楽しそうに足を伸ばして、深呼吸をした。

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