◎ 癒し系彼氏【桃】 (ページ39)

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『あれ、戻ってきたの？……って、…え？』

リビングであろう部屋のドアから顔を覗かせて、俺の顔を見て目を丸くするA。

「 Aごめんっ、」

突っ立ったまま動かへんAを、

今は強引に、今だけは強引に抱き寄せる。

そうでもしないと、逃げられそうでいなくなってしまいそうで。

『のぞむっ、… 』

「離さん。絶対、絶対絶対話さんよ」

『怒ってないの…、…怒ってないよ、わたしは』

下から見上げてくるAの顔を見て、

抱きしめてる腕の力を緩める。

すると、俺の背中にもAの腕がまわってきた。

『わたしね、ちょっと疲れてたんだと思う』

「迷惑だったね」なんて笑って、俺に暴露話をひとつした。

『実はね、調理免許わたし持ってるの。

望がお店を経営しやすいようにわたしもいつか退社して、家のことを守りたいなって思ってたの。

だから、夜ご飯ぐらいはわたしが作れるようになりたいなって。

でも、迷惑だったよね… 』

眉を下げて、俺にほほ笑みかける。

それが苦しくて辛くて、切なくて悲しくて。

「俺の事を思ってしてくれたことやんか… 」

『でもさ、望はさ、』

「嫌やないよ？迷惑でも、邪魔でもない。

むしろ、…むしろありがたいで？」

あたまを撫でてあげると、ポロポロと涙を流すA。

苦しいで。俺も、Aの心も。

『ごめん…望ごめんっ、心配かけちゃって…っ』

「ええから。俺の方こそごめんな

顔も見たくないなんて…Aに言う言葉ちゃう」

『いいから(笑) だってほら、…迎えに来てくれたでしょ？』

でも、と笑って。

『重岡くんには感謝しなきゃ。

急だったのに1週間も泊めてくれてわたしのわがままも聞いてくれて』

また、涙がこぼれ出すA。

「 A、仲直りしよっか」

『仲直り…、』

「ん、」

涙の流れた跡にそっとキスをして、また強く抱き締めた。

『帰ろ、望』

「帰ろっか、俺らの家に」

感謝の気持ちを置き手紙にして、重岡さんの家を後にした。

来る時は孤独だった道も、今はAが隣にいる。

俺に笑顔が戻った瞬間だった。

ｰかみかえさんリクエストｰ

ありがとうございました！

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