◎ 癒し系彼氏【桃】 (ページ37)

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「なんで？え、まずかった？え？でもAが作ったやんな？」

涙が止まらないわたしをみて、心配をしてくれる重岡くん。

『ん…、大丈夫だから、心配しないで？』

「そんなん、…そんなんできるわけないやんか、」

「だって、だって、… 」と、だってのあとに言葉が続かない。

わたしだってわかんないよ、どうしてこんなに泣いてるのか。

「 …あ、それとも美味すぎて泣いてもーた！？」

『もうっ…、ばかじゃないのっ(笑) 』

「ふははっ！ほら、笑ったやん！」

泣いてたはずなのにいつの間にか笑ってて、

いつの間にか涙は止まってた。

「ほら、やっぱ笑ってた方がいいやん」

『美味しかったよ、ご飯』

「ほんま！？よかった～～」

望の味だったから。

このご飯全て、望の味だったから。

思い出して、泣いて、辛くなって。

「俺もご飯作るんならおうかなあ～」

『ふふ、いいんじゃない？』

「でも近くにおるからなあ、資格もっとるやつ」

『え、だれだれ？』

「おまえやあほ！！(爆) 」

ペチンッと頭を叩かれる。

楽しいのに、頭の片隅で望のことを考えてしまう。

捨てられた身なのに。

しばらくしたら荷物まとめて出ていかなきゃいけないのに。

『 …離れたくないよぉっ…っ！』

「 …せやな？辛いなぁ、大丈夫やで？」

クッションに顔を埋めたわたしを、やさしく慰めてくれる。

こんなに優しいなんて聞いてないから…

だから、余計に涙があふれる。

「思う存分泣きや？忘れるなんてことせんでええから。泣いて泣いて、発散するねん！！」

「明日にはきっと、好き同士に戻ってんで」って。

『わかんないよ、そんなの…っ』

「わかるねん。恋愛に関しては俺のが先輩やからな！？」

『そっか、…年上だもんね』

変なとこにくぼみを作りながら笑って、頭を撫でてくれた。

「お前のええとこは笑顔やから。」

『 …それしかないの！？』

「なっ、お前欲張りやな？笑顔ってむっちゃええねんで！？」

『うるっさ、重岡… 』

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