◎ 癒し系彼氏【桃】 (ページ33)

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【風邪】ページ33

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お店の準備、Aの朝ごはんのために起き上がろうとすると、なんか体が重い。

でも、それはよくあることやし、なんとも思わん。

…とか、そう思ってたのに。

「 …なんか寒いなぁ」

体が寒くて、頭も痛い気がする。

でも、どっかのプライドが邪魔して、熱をはかろうとは思わない。

はかって熱があったら、もう負けてしまう。

「 …大丈夫、いけるいける」

なんとか朝ごはんを作り終えて、寝室へ向かう。

このままベッドに飛び込みたい気持ちを抑えて、Aを起こす。

おかしいなあ、こんなに自分の声が響くなんて。

『んっ、のぞむ…大丈夫？』

「ん？なにが？」

『からだ、…寒い？』

俺の手を握って、そう聞いてくるA。

このまま見られていたらバレてしまいそうで、怖くなる。

「大丈夫だって(笑) ほら、ご飯食べよう？」

『うん… 』

渋るAを起こして、リビングへ向かう。

『いただきまあす、… 』

「 … 」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

胃が受けつけない食べ物を無心にも食べ続けて、体にムチを打つ。

…でもやっぱり、からだは受けつけない。

『ちょっと、のぞむ？大丈夫！？』

「大丈夫、… 」

『どこだ、…トイレ、トイレ行こ？』

俺のからだを、小さなAが支えて、トイレまで連れていかれる。

「うっ、…っ、ぉぇ… 」

さっき食べたものが、消化されずに胃液と出てくる。

苦しさと痛さと苦さで、生理的に涙が出てくる。

『ごめん、辛かったね… 』

俺の背中を優しくさすっててくれているA。

何度も何度も、「ごめんね」って言っている。

『食べちゃダメだったね』

「ふぅ…、…ごめん、A 」

フラフラする足取りで、ソファへダイブ。

とんでもない疲労感がからだに襲ってきて、目を閉じてしまいそうになる。

『季節の変わりめかな、…大丈夫かな？』

そんな声を聞きながら、目を閉じて、意識を手放した。

『今日はゆっくり休んで…？』

頭を撫でられながら、小さく小さく、そんな声が聞こえた。

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