◎ 癒し系彼氏【桃】 (ページ3)

今日:9 hit、昨日:18 hit、合計:230,430 hit

【夜】ページ3

.

『ただいま！』

ガラガラとドアが開いて、彼女のご帰宅。

『はぁ…疲れたよ～… 』

「お疲れ様、A 」

『望…望もおつかれさまぁ～』

「うん、ありがとう」

カフェで働いてる俺の方が明らかに楽なのに、それを言わない彼女。

そんな彼女が、俺は大好き。

「今日のご飯はね、グラタンだよ！」

『やったぁ！焦げ目は？ついてる？』

「もちろん。 Aのためやもん」

用意するために、調理室へ入る。

カウンターから身を乗り出してるAの頭をポンポンッとしてから、準備を始めた。

「ほらぁ、A ？着替えておいで？」

今にも寝そうな目で俺が動くところを見つめるから、そう言ってしまった。

『望がかっこいいから見てただけだもん、』

「ごめんごめん。ほら、もうすぐできるからね？」

Aの後ろにたって、背中を押して促す。

渋々と歩き出す彼女に、もう朝の外のような面影はない。

お店の鍵を閉めて、火元をチェックして、レジ閉めをして、電気を消す。

今日は特別に、リビングでご飯でも食べようかな。

『あれ、、望？』

「今日はリビングで食べよう？テレビでも見て、気分変えよっか！」

Aが落ち込んでるのは、何となくわかった。

やから、彼女の大好きなバラエティをつけてあげる。

『ほんとに望は、』

「できる彼氏、やろ？」

『その通り』

久々に、隣に並んで食べてみる。

普段感じられない温もりが、そこにあるはず。

『今日は隣だね、望』

「うん、そうだよ。だから、こっち向いてね？」

俺の目を見て、目を潤ませるA。

我慢してきたことが、出てきちゃったみたい。

『泣いてもしょうがないのに、っ』

「ええんやで、泣いても。その分、俺が笑うから」

『ほんとにやさしいね、望は…っ』

背中をよしよしとさすってあげる。

隣に座ったのは、これがしたかったから。

Aが、今にも泣いてしまいそうだったから。

「今日もお疲れ様、A。」

寝てしまった彼女を抱きしめて、そっとささやいた。

「 A、大好きだよ」

.