◎ 癒し系彼氏【桃】 (ページ17)

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車を閉めて、今度は止められずにエレベーターまで着く。

全然来ないエレベーターを待ちながら、何度も何度も携帯を確認する。

“ 「 Aが給油室で倒れてもーてさ… 」 ”

その言葉が、頭にこびりついて離れない。

どうしてそこまで頑張るんか。

なにがAをそこまで突き動かしてるのか。

…俺には、全く想像できひん。

「 …っ、重岡さんっ」

「こっち、仮眠室で寝かせとる」

「すいませんほんま…休ませればよかった… 」

「 Aの意思できたんやろ？それだけで十分やん？」

案内された仮眠室は想像以上に寒くて。

どうして？

ブランケットもかけてないし、タオルケットさえも。

「全部、Aがしてもうてん(笑) 」

困ったように笑う重岡さん。

「部屋のクーラーの温度も下げて、ブランケットも剥いで、挙句には上にきてた上着さえも。」

「そんな… 」

おでこに手を乗せると、異常なくらいに熱いおでこ。

吐く息さえも熱そうで、いますぐに水風呂に入れてあげたいくらい。

「連れて帰ります、すいませんお忙しい時間に」

「いやいや。体調戻ったらはよ来いよって伝えといてください！」

「 …ふふ、わかりました(笑) 」

Aを背中におぶって、片手にバッグを持つ。

こんなに力が抜けてるのにこんなに軽いのは、きっと最近体調が悪かったから。

見抜けないなんて…最低なヤツだなあ、俺。

「ごめんな…A 」

俺の首が濡れたのがわかった。

泣いてるかな、A。

「もう家着くからな？あと少しの我慢やで」

駐車場に停めてから、すぐに家に連れ込む。

ベッドに寝かせて、部屋着に着替えさせて、楽な体制にしてあげる。

「ちょっとぐらい、俺に分けてくれてもいいんだよ…？」

寝てる後ろから抱きしめて、

「どうしてそんな頑張るの… 」

Aにとったら一番されたくない質問を、投げかけた。

『 …ん、…はぁっ…… 』

こっちを向いて少し微笑んだ顔が、

「わたしたち2人のため」そう言ってるいるようで。

火照るおでこに、そっとキスをした。

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