◎ 癒し系彼氏【桃】 (ページ14)

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もう何度目がわからないほど電話をかけた時に、プツッという音がした。

出たかな？

「っ、もしもしっ、もしもし、A！？」

『のぞむっ、…たすけてっ、』

場所を聞こうとすると、切れてしまった電話。

でも少しだけ、“ 「にしっ、こ、…ぉ、」 ”

にし、こ、…ぉ、

にしの工場…？

「崇裕くんっ、にしの工場っ、！！」

「わかった、急ぐぞ！重岡に電話！！」

「ん、っ、わ、わかった！」

ここからは一直線の場所にあるにしの工場。

もうかなり昔に廃工場になった場所。

人が出入りできるのは知ってたけど、まさかAがさらわれるなんて。

「望、自分のこと責めたらあかんからな？

とにかく今は助けることだけに集中しろ」

だんだんと見えてきた工場。

いるとしたらっ、

「作業場、やな」

「崇裕くんっ、行こう、！」

「あかん。向こうが何らかの武器持ってたら？複数やったら？」

「重岡さん、待ちます」

この辺の土地の勘は重岡さんも少なからずありそう。

走ってきてる人が見え始めて、2人の前で止まった。

「はぁっ、Aはっ、ここに、？」

「、はい。恐らく。」

「おし、いくで」

崇裕くんの声で、重岡さんがドアを開き、俺はスマホのライトで歩く道を照らし、崇裕くんはあたりキョロキョロしていた。

「 Aっ、おるなら返事してっ、」

あたりを一回照らしてみると、機具にできた影。

「っ、あっこや、あそこにAはおる」

「重岡さん、」

重岡さんがそう言うと、崇裕くんは一目散に駆けて行って。

「 Aっ、！！！」

『っ、ぁ、たかひろ、』

「すぐ解いたるからな、望、ライト、」

すぐそばに行ってライトを照らす。

幸い、顔に傷はなく、体にもなさそう。

「ごめんな、ごめん…もっと早く気づいてればっ、」

『んーん？望はなんにも悪くないよ？』

「でもぉ、っ、」

「泣くなよ、男やねんから(笑) 」

Aが見つかったという安心感から、涙があふれる。

もう、ご飯が冷めてしまうとか、どうでもいい。

『助けてくれて、ありがとう』

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