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うちの家はわりとお堅くて、
昔から親に勉強勉強と口酸っぱく言われてきた。
学生の本業は勉強という教育方針のもと、
1度も部活には入らせてもらえず、本当に勉強くらいしかすることがなかった。
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「A、私たちはお前を遊ばせるために学校に行かせてる訳じゃないぞ」
少しでも成績が下がればコレ。
人より勉強に費やす時間がある分、言い訳は許されない。
勉強に対しては、人よりかなり強いプレッシャーを感じてきた。
勉強は、好きというわけではなくて。
ただその圧力に応えるたった一つの手段だった。
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おかげさまで成績は常にトップ。
おかげさまで青春の思い出は特になし。
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「こんな時間か…」
今日もいつも通り下校時間まで残って勉強。
部活が終わった子たちがあちぃーと楽しそうに教室に戻ってきたのを横目に、帰る準備を始める。
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「あ、しげ。おつかれ」
「おー」
まだ涼しいこの時期に大汗かいてるしげ。
練習ハードなんだなあ。
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「今日さ、先帰っといて」
「えっ、何で？」
「まあまあ、帰ればわかる。
俺今日あいつらと遊ぶし、頼むわ！」
くいくいっとサッカー部集団を指差すしげ。
家の方向が同じだから、と、いつも一緒に帰ってるけど。
まあ、そっか。しげにも用事はあるよな。
なんだよう。ちょっと寂しい。
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「じゃあ、また明日ね」
「おー、ごめんな」
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騒がしい教室を後にして、下駄箱に向かうと、何やら壁にもたれかかる大きな人影。
見覚えのあるくるくるの栗色の髪の毛。
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「小瀧くん…？」
「よかったぁ、もう帰ったかと思った」
部活終わって猛スピードで着替えたんすよ！と嬉しそうな笑顔。
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「私を、待っててくれたの？」
「はい！もちろん！」
「…何で？」
「…えっ、そりゃ一緒に帰りたいからですよ！！
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そんで、2人っきりがいいから、
ちょっとシゲに頼んじゃいました。」
えへへ、と照れ臭そう笑う小瀧くん。
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なんだよう。そういうことか。
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本当に正直で真っ直ぐな小瀧くんの言葉に、
ちょっとドキッとした。
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作者名：華粉 | 作成日時：2020年5月19日 21時
