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「じゃあ、先輩らも、
何でもない顔してめっちゃ人のこと気にかけてる、
Aせんぱいの、あのギャップに
日々やられてるんすね…！！」
何食わぬ顔でうんうん、と頷く小瀧くん。
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一瞬空気が止まって、群がっていた女子たちは呆れ顔に変わった。
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「ふは、やるなあ。ワンコ。
な、A。」
オレンジジュースのストローを噛みながら、私の頭を肘おきにしてくるシゲ。
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庇って、くれたのか。
なんか、すごい、はずかしいこと言われた気がするけど。
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「あ"っ！！シゲ何やってんねん！！」
「おー、今日も元気やなぁ！犬っころ！」
ハッとこちらを見つめると、
ワタワタとこちらに走ってくる小瀧くん。
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「Aせんぱいに許可なく触らんとって！」
「、ぐえっ…」
ぎゅうっと後ろから抱きついてくる。
最初こそこの距離の近さに驚いたものだが、今やもう大型犬が飛びついてくるのと何ら変わらない。
今度は、がるるる、と威嚇してるみたい。
コロコロ変わる表情が、本物の犬みたいだ。
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「こたきくん、くるしいよ…」
「はっ！！ごめんなさいせんぱい…」
パッと手を離してきゅるきゅると見つめてくる小瀧くん。
うーん…本当に憎めない子だと思う。
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「やーい、怒られてやんの！」
「しげ、うっさいな！！誰に許可とってAせんぱいの横の席座ってんの？！」
「悔しかったらお前も2年早く産まれ直せばァ？」
「ハッ、笑わすなや。精神年齢は5歳以下のくせに」
「はあーーーー？！
体だけデカなった赤んぼがよう言えたな！」
この2人は部活が同じサッカー部なうえに
こうやって毎日会うから、
いつのまにか年の差も気にせずすっかり仲良しになっていた。
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べー！と舌を出すしげ。
「あは、子どもか…っ」
思わず吹き出すと、
「あ！Aせんぱい笑った！
めっちゃかわいい！！」
と嬉しそうにされて、
そのまま顔を覗き込まれ、目が合う。
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「…あの、小瀧くん。」
「はい。何ですか、せんぱい」
子犬みたいなウルウルした目。
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「さっきは、ありがとね。庇ってくれて」
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すると子犬の目尻にキュッとシワが刻まれて、
噛みしめるようにひとこと。
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「俺、今日もせんぱいのこと、好きです」
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作者名：華粉 | 作成日時：2020年5月19日 21時
