笑み （千石） ページ2
・
｢あー…またやってるよ。｣
私は山吹中テニス部のマネージャー。
今日も皆せっせと練習をしている。
…だけど。
｢ねえねえっ君可愛いね！俺この辺…｣
｢ゴラァ！！キヨ！！！｣
｢あちゃ…ごめんねまた今度ということで…｣
この男。千石清純もテニス部員。全国区のプレイヤーだから、強いんだけど…
如何せん、女癖が悪い。
｢皆ちゃんと練習やってるんだから！｣
｢メンゴメンゴ。｣
そう言いながら ウインクをしてくる。
本当にこの男は…
でも。
真剣にテニスをしている姿はかっこよくて、凄くキラキラしている。
｢…かっこいいな｣
そんな男に柄もなく、片思いをしている。
｢Aちゃん。タオルあるかな？｣
｢あ、これ。｣
｢サーンキュ。｣
汗を拭う姿もかっこいい。あー…私重症だな。
｢どーしたの？そんなに見つめて。｣
｢…言い方どうにかならないの？｣
｢え？間違ってた？｣
間違ってない。見つめてた。いや、見とれてた。
｢…真剣にテニスしてればかっこいいのに。｣
ぼそっと呟いた言葉。それをわざわざ拾ってくるキヨ。
｢…え？今なんて？｣
｢え！？！？聞こえてたの！？｣
｢だって、結構大きい声だったよ？｣
｢そんなわけ…あっ｣
こんなん言ったら、私が呟いたって確定じゃん！！
馬鹿！！！
｢え、えっと…｣
｢あの、そんなに顔赤くされるとこっちまで恥ずかしいんだけど…｣
見上げるとそこには真っ赤なキヨ。
うわあ…こんな顔…初めてみた。
胸が高鳴る。
あーやっぱりキヨが好きだ。という気持ちが溢れ出す。
｢キ、キヨの馬鹿！！！早く練習に戻れ！！｣
｢いきなりそれは無いでしょ〜！じゃあ、俺のかっこいい姿、存分に見ててね。｣
｢馬鹿！！！！｣
本当に心臓がもたない。
去り際の笑顔も、練習となると真剣になる顔も、
チャラそうに見えて、意外とウブで赤くなる顔も、
あー私やっぱり、
｢…好きだなあ。｣
いつか、面と向かって言えるように。
キヨに好きだって言ってもらえるように。
━━━━━━━━━━━━━━
｢キヨ、好きだよ。｣
｢俺もだよ。A。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほ | 作成日時：2018年12月16日 1時
