僕等の英雄仮令録【HA*IF】 (ページ7)

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5話ページ7

次は握力測定である。

「〔えーっと、先生。握力計が壊れました…。〕」
「は？」
握力計を破壊したのは、歪禍来綺星。個性は【半覚半壊】
相手の心を読んだり、壊したり。色々と、解明されない個性だ。
綺星は紙袋で顔をすっぽり覆っており、いつも看板のようなものを持ち歩きそれで会話している様だった。性別、顔、声不明。謎だらけの生徒であった。
石黒は、また見ない手で来やがった…。と言わんばかりに口を開けている。
「…測定不能。得点には入れない。」
「…はぁ。」
石黒のもはや冷めた言葉に、綺星は紙袋の隙間から、声を漏らした。

「ご、50！？素で！？」
そんな綺星の側で、阿修羅の声に照れた様に笑うのは、鷹城京架。名前の通り鷹の様な、涼しげでキリッとした容姿を持つ少女だ。
「本トに女子かよ…。」
「一言余計だッ！」
阿修羅のやや失礼な発言に、京架は若干のふくれっ面をして彼の頬を軽くつねった。
「うおッ、イーサン、握力90だってッ‼」
更に横で測ったのは、イーサン・マーティン。外国人らしい雰囲気と名前だが、日本語はしっかりと話せる。見た目は筋肉隆々であり、見るからに強そうな男子生徒だ。
「イーさん。凄いねぇッ‼」
謎のあだ名で呼ぶ時雨。イーサンはそんな時雨を見て、少し笑った。

「んんッー、全然力が入らないのッー‼」
顔を赤くして握力計を握るのは、憂宮天音。苗字を聞いて察する事も多いと思うが、何を隠そう彼は時雨の弟だ。姉に似ている節といえば、前髪の横らへんにのぞくアホ毛くらいだろう。後日出た話ではあるが、KY…空気の読めない所やあほの子な所はそっくりらしい。
容姿も正反対。色素は時雨に全部持ってかれた感じであるし、強気そうな時雨と違い、どこか弱々しく優しそうな顔つきをしている。非常に女顔だ。
彼は先ほどの言葉通り、握力12というとんでもないといえば、違う意味でとんでもない記録を樹立した。

握力計を太く伸びた幹で締め付けるのは、朝陽乃樹。個性は【植物】どうやら、幹の力を使ってしまおうという気らしい。
結果は128。どうやら、植物の力を舐めない方がいい様だ。

最終的な握力分野での結果は、1位は樹。2位がイーサン。3位に思わぬ底力を発揮した美誇がランクインした。