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エイナさんに最低な事を言った。別に運命の番を信用していない訳じゃないけど、どうしても番の関係性を考えると怖くなる。もし、捨てられたら?なんで色んなことが頭を駆け巡る。俺にも運命の番がいるって言うのはエイナさんに言われるまで知らなかったし正直運命の番なんて俺には必要ない。でも、そんなことばっかり考えていても前には進まない。
正直な話、運命の番がいるΩはαがいないと一人で生きていくのはかなりしんどい。自覚がなくとも身体が勝手に運命の番を探そうとフェロモンを撒き散らす。だから、本当はさっさと番合って仕舞えばいいのだけど俺には到底出来ない。どうしても、恐怖が上塗りされる。でも、あの時。フロイド先輩が助けてくれた時は怖くなかった。その前に怖い思いをしたからなのかは分からないけどそこまで不快感も無かった。
「フロイド先輩…?ないない。ぜってぇないわ」
「何がねぇんだよ」
「うわぁ!?お、驚かすなよ」
フロイド先輩は良くモテる。度々他校から女子生徒が来てるけど全員振ってる。女の子曰く、好きな人がいるらしい。フロイド先輩の好きな人とか絶対大人の人でしょ。逆に考えてみろよ。こんな俺があんな高スペック男子に好かれる?ないない。
「別になんでもねーよ。つか、なんで俺がここにいるってわかったんだよ」
「えー、やっぱ運命ってやつ?」
「きっも。ほら、帰るぞ」
エースの放った運命の言葉に心臓が跳ねた。バレては無い。意識し過ぎてる。さっきまでの事は忘れろ。さっさと忘れて俺は幸せになるんだ!!!!
エースと分かれて寮に帰る。体育会の一件からリリア先輩達がより過保護になった。そう思うとやっぱり俺って不甲斐ないのかな。男でもΩだと女の子みたいな扱いをされる。少し癪に障るけど俺の為なんだと思うと少し気が楽になる。カイラさんから貰った薬を飲んで食事処に向かう。俺が最初に飲んだ薬より副作用もほとんど無く、身体に負担が無い。けど、その代わり1日3回に分けて服用しないといけないけど随分と楽になったのを実感する。
「A、こっちだ」
「シ、シルバー先輩」
シルバー先輩に着いていく。本当は他の寮生みたいに各自で食べたいけどリリア先輩からの命令で毎回一緒に食べないといけない。全然いいんだけど、やっぱちょっと慣れない。マレウス先輩の威圧感が凄くて料理に味がしない。
「美味いか?」
「とっても美味しいです」
「そうか」
優しく微笑む。やっぱり、運命の番とか嘘だと思う。
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ピピ - やばいぐらい主人公が好みです! (2020年6月4日 16時) (レス) id: de2e77a72a (このIDを非表示/違反報告)
伶(プロフ) - おっふ(^^) (2020年6月3日 0時) (レス) id: 472a16cc4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:田中 | 作成日時:2020年5月30日 11時