近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ38)

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さっきのゲリラ豪雨並の雨で濡れまくってるまま。ジェイド先輩は山に行ってるって言われた。ボードゲーム部の部室に向かう。

「あの！アズール先輩いますか？」

「Aさん？入ってください」

「え、ちょっ、アズール氏…！」

中にいたアズール先輩ともう1人の先輩が困ったような声をあげた。別に入らなくても伝えられる。手にかけてたドアノブを離して声を上げる。

「フロイド先輩が人魚に戻っちゃったんです！」

勢いよく扉が開いて俺の肩を掴む。掴まれたと同時に息が詰まる。

「本当ですか！？ていうか、何でびしょ濡れなんですか！」

「す、すみません…！」

「入って下さい。いくらこの暑さでも風邪をひいてしまいます」

アズール先輩に無理矢理入れられて白い、綺麗なタオルで拭かれる。

「じ、自分で出来ます」

頭を拭きながらさっきあった事を話す。アズール先輩はため息をついて薬を持って行ってしまった。この場にいるのは部屋の隅に立ってる人と俺だけ。ちらっと見たら怯えた声を出して後ずさる。なんか、ちょっと悲しい。

「あ、あの」

「は、はい？！」

「髪、綺麗ですね」

「え、？」

俺、何言ってんだ。ナンパみたいな言葉が出た。初対面でそんな事言われたら変に思うだろ。でも、本当に綺麗で。炎みたいな、綺麗な青い髪。神秘的でずっと見てられる。

「そ、んなこと…初めて言われた…」

「え！？そんなに綺麗なのに。見る目が無いですね。あ、俺A・グローナです」

「イ、イデア・シュラウド…」

イデア先輩はボードゲーム部の部長でゲームとかが凄く得意な人で色々教えてくれた。それと、恋愛話。所謂、恋バナってやつをした。イデア先輩とアズール先輩は付き合ってるって。別にαとαが付き合ったり、結婚するなんて言うのは今更変な事じゃない。寧ろ、最近では当たり前って言われてるぐらい。α、Ω全員に運命の番がいる訳じゃない。だから、α同士が付き合うのも。結婚するのも今では普通。ただ、生殖率がαとΩはほぼ100%なのに比べてα同士は50%。生殖率は少し低いけど本人達が幸せだと言えるのなら俺はいいと思う。

「拙者ももっと男らしくしたいんでござるよ…」

「でも、そういう所をアズール先輩は好きになったんじゃないですか？」

「そ、それは知ってるでござるよ！？でも、もっとこう…」

「じゃあ、壁ドンとかしてみたらどうですか？」

「レベルが上がりすぎでござるよ！」