近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ35)

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「ナイトレイブンカレッジって俺がいた時となんか変わってた？」

「そんな数年で変わんないよ」

「えぇ、優越感に浸りたかったのに」

「逆に俺が入学して変わった事の方があるかもな」

明らかに変わったというものは無いけど腕章のデザインが少し変わっていたり式典の服が変わってた。それぐらいだけど兄さんは狡いってうるさい。ラック達が帰ったら甘え出す。人前では礼儀正しく、優しい。それは事実だけど身内しかいなくなるとこうやって少し幼くなる。面白いから別にいいんだけど。

「そういえばいつ帰んの？」

「2週間後ぐらいだと思う」

「割りと長いのな。あ、そーだ！ホリデー終わったら文化祭あるよね？」

「あるけど…。来んの？」

「ラック君達と行く」

「仕事は？」

「片付ける。だからチケット頂戴ね」

こういう行事は親の代わりに姉さん達が良く来てくれた。両親共々忙しいから。母さんも作り終えて直ぐに仕事に向かった。管理職だということもあるけど普通に忙しい。そんな両親に代って姉さんと兄さん2人が俺の行事によく参加してくれた。歳が離れてるから出来たことだけど今となっては感謝してる。
ナイトレイブンカレッジの文化祭は兄さんに招待された時以来で何をしていたのかあやふやでしか覚えてない。多分、無難にカフェとかだろうし。ラックも来るならマリア達も来るだろう。少し楽しみになってきた。

「眠いからもう寝るね。おやすみ」

「おやすみ」

携帯を弄りながら言う。寮生活から帰ってきた弟に対してこの仕打ちは酷い。もうちょっと優しくなるかと思ってたのに。まぁ、これが姉さん達か。欠伸が抑えきれずに漏れる。

「荷物はちゃんとしたか？」

「お土産持った？」

「制服のネクタイ曲がってるわよ」

「後ろの髪跳ねてるじゃない」

家族総出で送り迎えてくれる。有難いけどなんかちょっと寂しくなる。

「ありがとう！じゃあ、もう行くね」

「たまには連絡してよ」

行ってらっしゃいって家族の揃った声で送り出される。やっぱり、ちょっと寂しい。ホリデー中はグールプで写真送りあったり通話したり色々した。久しぶりに会えるっていう嬉しい半面家族とラック達と離れるっていう悲しい半面。でも、早くても文化祭には会える。その時までまた楽しく過ごせればいい。明るい光に包まれて見慣れた所に着く。また、ナイトレイブンカレッジでの寮生活が始まる。