近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ33)

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充電した携帯をポケットに入れて集合場所に行く。俺の荷物はマレウス先輩とリリア先輩が向こうに持って行ってくれた。本当は自分で持っていく予定だったけど身体に負担をかけるなと怒られた。

「マレウス先輩。リリア先輩」

「まだおったのか。さっさと行かぬと鏡が閉まるぞ？」

「最後に挨拶しておきたくて」

「別に少しの間離れるだけだ。そう気遣うことは無い」

優しく微笑む。先輩はそう言うけど、常識として。普段のお礼として。ちゃんとするのは当たり前のこと。エイナさんからも話は少し聞いていた。俺の具合は大丈夫なのかとか、薬は切れていないのかとか。擁護魔法をかけられているとは知っていたけどそこまで過保護になられるとこっちとしてもなんだか申し訳なくなってくる。

「お土産ちゃんと買ってきますから！夏バテしないように」

「あぁ。Aも気をつけるんだ」

「わしらもお土産を持ってくるから楽しみにしておくんじゃぞ」

少しの立ち話をして鏡の所に向かう。ジャック達が俺を待ってたみたいで遅いって怒られた。

「何してんだよ。もう行ったのかと思ったわ！」

「ごめんって」

「荷物は？」

「マレウス先輩達が魔法で…」

「まじか！流石ドラコニア先輩だな！」

「お前ら、あともう少しで閉まるぞ！」

最後までバタバタと忙しなく皆といた。またね！って笑って実家に辿り着く。見慣れたはずなのにちょっと懐かしく感じるのは向こうで過ごした時間があったから。

「よしっ…ただいまー！」

ドアを開けて家に入る。

「お帰り。A」

「おっそい！お帰り」

「待ちくたびれたぞ〜？お帰り」

「A！お帰り！」

「皆、ただいま！」

俺の足にしがみついたマリアを抱き抱える。マリアは俺の5歳年上の親友のラックの子供。マリアは父親を知らない。ラックが俺と同じ事をされた時に産んだ。1人で5年も育て上げたラックを尊敬する。俺がここに帰ってくる前に運命の番を見つけたみたい。

「マリア！ママの所に行こう！」

「うん！」

「あ、ちょっと待って！これを持っていきなさい」

大きくて綺麗な向日葵。マリアを抱えて受け取る。マリアは賢くて少し抜けてるラックの事をよく見てくれてる。俺がいない分不安もあるけどこの子がちゃんとあいつを守ってくれてるんだって思うと凄く安心する。本当は親が守らなきゃいけないのにな。