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差し出された紙をまじまじと見つめる。主な内容はA君の喘息について。ほとんど嘘だけど。月に1回1週間の定期検診がある事。あまりの人混みに行ってはいけないとか。Ωにとっての常識をまとめてある。だけど彼らはαだからそれを知らない。だから簡単に信じてくれる。僕は嘘をつくのが苦手だからカイラに任せる。

「その紙に書いてある通りだ。基本的に月終わり頃から定期検診を始める。だが、その予定が崩れる場合があるから。お前らは放っておいてくれ」

「寮生を放っておけと?」

「Aの保護に関しては俺らの仕事だ。まぁ、外的な事がAにあれば報告なりしてくれ」

「分かった。なら、安静にとAに伝えてくれ」

「わしも頼むぞ」

「あぁ。わかった」

解毒薬については触れない。彼らなりの心配の証なんだろうが少し歪だ。A君が賢い子で良かったとつくづく思う。あのまま寮にいたら大変な事になってた。

Ωの事はΩしか分からない。辛さも。苦しさも。だから、僕がA君のサポートを全力でしないといけない。カイラだって僕と番同士だけどαなのは変わらない。多分、薬の影響もあるんだろうけど。普段のΩの匂いが強いA君がヒートを起こせばカイラも太刀打ち出来ない。
A君の事に関しては学園長とお母様から事前に聞いているけど酷い事があった。僕はカイラが未然に防いでくれたけど泣きたい程怖かった。それが一度に何人もとなるとA君の中でαの印象は最低なものになってる。20歳を超えた僕ですら怖かったし。外に出るのも嫌だったのに15歳で被害にあったら一生のトラウマものだろう。そこのケアも僕がしないと。

「僕がしっかりしないと…」

「αだけど頼れる事があれば頼ってくれ。エイナは頑張りすぎる節があるからな」

そう言って僕の頭を撫でるカイラ。カイラにはつい甘えてしまう。だけど、A君は甘えられる場所があるんだろうか。その場所が僕ならいいな。なんて珈琲を飲みながら思った。

僕の家からマンションに入ると案の定部屋中に匂いが漂ってる。玄関の隙間から漏れ出さないようにとシールド魔法をしておいて正解だった。布団にくるまってるAに声をかける。

「エ、イナさん…」

「おはよう。抑制剤飲めそう?」

「だい、じょうぶです」

かなり酷い様子。今日は付きっきりで診てあげよう。抑制剤と水を渡して部屋を出ていく。カイラに連絡して在宅で出来る仕事を始める。

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ピピ - やばいぐらい主人公が好みです! (2020年6月4日 16時) (レス) id: de2e77a72a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - おっふ(^^) (2020年6月3日 0時) (レス) id: 472a16cc4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:田中 | 作成日時:2020年5月30日 11時

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