近寄るな。大嫌いなんだよ。 (ページ31)

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「なぁ！今日放課後出かけよーぜ！」

「良いけど。どこ行くんだよ」

「駅前に美味いスイーツ専門店出来たんだって」

ほら、って携帯を差し出される。携帯に表示されたスイーツ専門店とやらは俺が行きたかった店。

「それ！俺が行きたかった店じゃん！予約制なのに…」

「たまたま予約出来たんだよ」

「え、でもエース甘いの好きだったっけ？」

「え、あー。本当はエペルと行く予定だったんだけど用事あるって言われてさ」

なんとなく嘘な気がしたけど俺にとっては好都合。ここのチョコレートパンケーキが美味しいってネットに書いてた。寮に帰って私服に着替えて鏡舎まで行くとエースと始めてみる人がいた。邪魔にならないように少し離れて見ているとなんか怒られてる様で面倒くさそうに話を聞き流してる。

「全く…。次同じ事をしたら首を跳ねてしまうよ！」

「はい。りょーちょー」

首を跳ねるって…。随分と物騒な事を言う寮長だな。話し終わったのを確認してエースに声をかける。

「あ…。さっきの見た？」

「え、なにが？俺ついさっき来たばっかだけど」

「あ、そうか。ならいい！早く行こーぜ」

多分人に怒られている姿なんて見られたくないだろう。俺だって見られたくない。エースと入学した時からいるからほんの少し慣れた。でも、だからって安易に近付ける訳じゃない。少し距離を空けて隣に座れるくらいには慣れた。初めての頃よりだいぶ進歩したと思う。

「そんな食えんの？」

「バイキング形式なんだから食べなきゃ勿体ねぇだろ」

キラキラと宝石みたいに輝いてるケーキや小さなパフェにパンケーキ。見てるだけで気分が上がる。食べたい分だけ取って食べる。俺が思ってたより味も見た目も凝ってて。見た目だけじゃなかった。

「エース食わねぇの？」

「お前が食べさしてくれたら食うわ」

自分で食べろよって呆れたけど連れて来てもらったし。しかも事前払いらしくて奢ってもらってる。まぁ、いいか。綺麗なスプーンで1口サイズで掬って差し出す。きょとん、とした顔で瞼を瞬く。

「えっ…まじでくれんの？」

「だってエースが言ったんじゃん。もしかして嫌いなやつだった？」

「い、いや。そうじゃねぇけど…お前、周りの目気になんねぇの？」

「別に？だって俺ら有名人でもねぇじゃん」

周りの人だってわざわざ俺達を見るために来てる訳でもない。周りを見てもスイーツに夢中で俺達の事なんて眼中に無い。

「ほら、あーん」

「あ、あーん…」