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「ちょっと。帰ってくるの遅いですよ」
アズールが仁王立ちで腕組んで怒ってる。遅い、って言うけどまだ8時。多分、アズールも誘わなかった事にキレてんだと思うけど素直に言えば良いのに。なんで連れてってくれないんですか、って。
『すみません。今度からは早めに帰って来ますね』
「アズールもしかして誘われなかったの嫌だったの？」
「おやおや。素直に言えばいいのに」
「ち、違いますよ！何言ってんですか！！」
茹でダコみたいに顔真っ赤にして怒る。どっちにしても怒るんじゃん。小エビちゃんは失礼します、って帰ってたけど小エビちゃんの姿見えなくなるとなんで僕も誘ってくれなかったんですか、って涙目で拗ねてる。好きな子の前では格好良く居たいのは誰だってそーだよ。本人は全く気付いてねぇけど。
「今度からは誘ってあげますよ」
「約束ですからね…」
風呂から上がってジェイド達とベランダに座ってたら小エビちゃんの友達もベランダに来た。すみません、って戻ろうとしたから呼び止めた。
「侑李さんバイトお疲れ様です」
「あ、ありがとうございます…」
「小エビちゃんは？」
「多分部屋でゲームしてると思います」
ジェイドがこの前渡してたゲーム。嬉しそうに受け取って毎日やってんの。俺もあげればよかったな、って思ったけどジェイドの方が俺より知ってるし下手にあげるよりまし。でも、良い気がする訳じゃねぇし。ジェイドもアズールも小エビちゃんの事好きだから、そういう奴から貰ったのを嬉しそうに抱えられるとこっち嫌だ。
「あ、でも。今日一緒に出掛けたの結構楽しかったって言ってましたよ。本人に言えよって言ったんですけど恥ずかしがり屋なんで」
ほら。そうやって、小エビちゃん本人が居ないところで嬉しくなって勘違いする。んな事言われたらまた好きになるじゃん。俺だってめっちゃ楽しかったし。ポケットに入れてた携帯が震えた。
"今日は付き合ってくれてありがとうございました。先輩と出掛けたの楽しかったです"
多分ジェイドにも同じメールしてると思うけどこうやってちゃんとメールしてくれる所は律儀。無自覚なのかわざとなのか。俺にはわかんないけど勝手に頬が緩む。
「口で言えよ。ばーか」
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作者名：田中 | 作成日時：2020年5月24日 1時
